SCアンドパートナーズ

Vol.364 コロナと共生の道は無いのか

緊急事態宣言が5月末まで延長される。

今、解除する状況ではない、と。

このコラムでも主張してきたが、日本の採ってきた、「クラスターつぶし」「3密」「自主的自粛」の3つの戦略の限界ではないだろうか。

https://scandpartners.jp/blog/post-5379

仮にこの先、沈静化しても、PCR検査を絞った体制では、「隠れ罹患者」が相当数存在し、自粛を緩和した途端に感染者は拡大し、第2波、第3波が訪れることは容易に想像できる。

このPCR検査を絞っている理由は、感染者を発見すると医療崩壊を招くからだと言う。

しかし、罹患者を特定して隔離しない限り、隠れ罹患者は感染を広げていくだけだ。

幸い罹患した人の全員が重症化するわけではないからホテルなどの隔離施設を用意して、とにかく、隠れ罹患者を無くさないことには今の自粛を続けていても効果は無いように思う。

徹底したPCR検査を実施した韓国では、最近では感染者がゼロの日も出てきている。

①発熱外来を設け、一般の医療とは分け、PCR検査を徹底し、罹患者を特定し、隔離する。

②ロックダウン、外出規制の徹底によって感染を止める。

ワクチンや治療薬が無い今、採れる戦略はこの2つに尽きるのではないだろうか。

ところが、今の日本では、外出は自由だし、休日ともなれば多くの行楽地や遊興施設に人が押し寄せる。

でも、建前は「ステイホーム」

だから、休業指示まで出して、店を閉めさせる。

これでは、感染者は減らないし、罹患者は特定できないし、経済は停滞するし、すべてが中途半端。

このまま行くと、コロナ明けの日本は「焼野原」が残ることにならないか。

台湾は早くから渡航を制限していたことに比較し、日本は春節の中国人を大いに受け入れた。

ここから間違っていたのだ。

でも、過ぎたことを言っても始まらない。

今からでは遅くない。

戦略を転換できないものか。

もし、転換できないのであれば、治療薬が出来るまでウイルスと共生の道を探るしかない。

日本では、3月から店舗の閉鎖や経済活動が停滞し始めた。

そして、また自粛の延長が5月まで続くと、合計3か月連続の営業不振が続く。

各社各店の留保金や貯金は。1か月や2か月持ち堪えられても3か月以上はさすがに持ち堪えられずに倒産が加速度的に発生するだろう。

リーマンショックの時、アメリカは倒産や店の閉店を招き、立ち直りに相当の時間を費やすことになった。

だから倒産や廃業を出来るだけ無くすことがアフターコロナを迎える大切なテーマだ。

なのに、強硬な手段を取れず、検査もせず、発熱外来も作らず、人の移動も自由のまま。

そして、企業や店舗や施設にだけ休業を迫る。

また、同じことを1か月送ることになるのか。

今、全国の感染者は1万人。

1.2億人の0.008%

この数字をどう見るかはさておき、これまで分かってきたウィルスの特徴を考慮し、対策をしながら経済活動とウィルスの共生の道を探ることが出来ないだろうか。

ワクチンや治療薬の開発までの期間をとにかく上手にやり過ごす方法だ。

例えば、

企業は、始業時間を9時では無く、10時や11時にして通勤ラッシュを避け、職場ごとに輪番制で在宅ワークを取り入れ、人の接触を減らし、定例会議や根回し説明は止め、外部との会議はオンラインで行い、終業後の飲み会や歓送迎会や資金集めなどの不要不急なパーティも止め、感染を防ぐ。

オフィスのフロアの半分の人を在宅ワークにすれば接触は半分になる。

換気設備も改修して性能をアップさせる(ここに税金の負担を入れてもいい)

5日のうち、2日を輪番出勤にすれば5分の3になる。

5日のうち、2日は在宅ワーク。

店舗も短縮営業やソーシャルディスタンスを守り、休業日も増やす。

店舗の営業も11時から18時にしたらスタッフの交番もワンシフトで済むだろう。

「いっらしゃいませ」「お探し物は何ですか」「フィッティングも出来ますよ」というお決まりの3ワード接客も止めて、POPを充実させれば店員さんの感染リスクも減る。

「声がけが大切」という価値観もちょっと横に置いておこう。

そして、365日無休、24時間営業なんて、この機会に止めたらいい。

商業施設も開いている店や閉まっている店が混在しても今は認めよう。

学校も午前と午後に分け、オンライン授業を整備して取り組めば、3分の一の生徒だけの登校で済む。

ここでも換気設備の改修・性能アップも必要だろう。

ただ、残念ながら濃厚接触となる夜の店舗や興業は難しい。

でも、そこには保障の道を作ればいい。

何も国民全員に均一料金をばらまくこともなかろう。

今回、給料は下がらず、収入が落ちていない人もたくさんいるはずだ。

私は何も感染するリスクをあきらめろ、と言うつもりは無い。

とにかく、今の日本政府の採る戦略があまりに中途半端に思えて仕方ないからだ。

「責任の無いやつが勝手なことを言うな!」と怒られるかもしれないが、このままでは感染者は減らず、経済は停滞し、働く場を失った焼野原の日本になってしまう。

それだけは絶対に見たくない。

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

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