SCアンドパートナーズ

VOL.1109 「SCの同質化は悪いことなのか」

「最近、どこに行っても同じテナントばかりで、SCの同質化が進んでいる」

この言葉の背景には「SCの魅力が低下している」「差別化ができていない」などあまり良くないことであるという論調が含まれている。

でも、本当に同質化は悪い(いけない)ことなのだろうか。

そんな疑問点から以下の寄稿になったのだが、もう少し、捕捉する。

そもそもテナントミックスはどうやって決まるのか。

一部に、競争力の向上や他の競合施設との差異化を高めるために新規性のテナントを求めることはある。

しかし、最も大切なのは、次の3点である。

1 顧客ニーズに合致しているのか

2 テナントが出店したいと思うのか

3 SCが出店して欲しいと思うのか

この他、色々な要因はあるが、この3点に収れん(還元)出来る。

例えば、UNIQLO、無印良品、カルディコーヒーファーム、ニトリ、マクドナルド、サーティワンアイスクリーム、ミスタードーナツなどを要望する顧客は多い。

特にお子さんはマクドナルドのおもちゃがうれしい。

大人もいつも新商品の出るサーティワンアイスクリームを楽しみにする。

冬にはUNIQLOがヒートテックを売る。

ニトリで生活用品がリーズナブルに揃う。

彼らは、SCというコモディティ化された場所で経営することを前提に多くの努力をしている。

その結果、顧客が望むことになる。

それを「どこに行ってもUNIQLO、マクドナルド、サーティワンアイスクリームだ」と言うのは、的外れではないだろうか。

そして、SCもしっかりと集客し、家賃を滞納することなく収め、SCの内装ルールや営業ルールを守って健全に営業するテナントは歓迎するに違いない。

そもそも、テナントが出店したいと思わなければ出店することはない。

出店したいと思うのは、出店することが自社にとってメリットがあるからに他ならない。

要するにこの3社の合意が今の形である。

最も経済合理性は高く、消費者効用の最大化を目指す。

まず、ここを理解して、その次に進みたい。

「差別化が必要だ!」

これ、本当?

この「差別化」ほど誤解されている言葉もないだろう。

次回、それを解説する。

VOL.1101 「テナントを競争の具にするな」

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これまで問い合わせ用メールアドレスをこちらに記載していたのですが、最近、営業メールの数が看過できないほど増えてきており、大変心苦しいのですが一旦閉じさせて頂きたくことになりました。
事情ご賢察の上、ご理解くださいませ。

株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

Facebook:西山貴仁 -SC & パートナーズ-