「最近、どこに行っても同じテナントばかりで、SCの同質化が進んでいる」
この言葉の背景には「SCの魅力が低下している」「差別化ができていない」などあまり良くないことであるという論調が含まれている。
でも、本当に同質化は悪い(いけない)ことなのだろうか。
そんな疑問点から以下の寄稿になったのだが、もう少し、捕捉する。
そもそもテナントミックスはどうやって決まるのか。
一部に、競争力の向上や他の競合施設との差異化を高めるために新規性のテナントを求めることはある。
しかし、最も大切なのは、次の3点である。
1 顧客ニーズに合致しているのか
2 テナントが出店したいと思うのか
3 SCが出店して欲しいと思うのか
この他、色々な要因はあるが、この3点に収れん(還元)出来る。
例えば、UNIQLO、無印良品、カルディコーヒーファーム、ニトリ、マクドナルド、サーティワンアイスクリーム、ミスタードーナツなどを要望する顧客は多い。
特にお子さんはマクドナルドのおもちゃがうれしい。
大人もいつも新商品の出るサーティワンアイスクリームを楽しみにする。
冬にはUNIQLOがヒートテックを売る。
ニトリで生活用品がリーズナブルに揃う。
彼らは、SCというコモディティ化された場所で経営することを前提に多くの努力をしている。
その結果、顧客が望むことになる。
それを「どこに行ってもUNIQLO、マクドナルド、サーティワンアイスクリームだ」と言うのは、的外れではないだろうか。
そして、SCもしっかりと集客し、家賃を滞納することなく収め、SCの内装ルールや営業ルールを守って健全に営業するテナントは歓迎するに違いない。
そもそも、テナントが出店したいと思わなければ出店することはない。
出店したいと思うのは、出店することが自社にとってメリットがあるからに他ならない。
要するにこの3社の合意が今の形である。
最も経済合理性は高く、消費者効用の最大化を目指す。
まず、ここを理解して、その次に進みたい。
「差別化が必要だ!」
これ、本当?
この「差別化」ほど誤解されている言葉もないだろう。
次回、それを解説する。