SCアンドパートナーズ

VOL.1108 「2025年6月売上高状況(3業態)」

2025年6月の売上高状況は以下の通りです。

SC +1.8%

百貨店 ▲7.8%

チェーンストア +4.2%

百貨店が5か月連続の減

気になったので、百貨店売上の「地区別」「商品別」の内訳を掘り下げました。

これまで牽引してきた都市圏のダウンと身の回り品や美術品などの高額商品のダウントレンドの影響のようですが、福岡が極端に凹んでいます。

韓国その他のインバウンド客でごった返す博多の肌感覚とは異なるので、何か特別な要因がありそうです。

商品別で突出している「家電」「その他」も気になったので、それぞれのカテゴリーに何が含まれているのか、分類表を調べました。

残念ながらここからは導き出せないですね。

百貨店の売上でもう一つ気になるのは、生鮮食品▲5.0%と惣菜▲2.2%です。

インバウンドの低調は仕方ないにしても、百貨店が強みとする食品がマイナス

このあたり、原因を知りたいところです。

でも、改めて、百貨店は、お土産物屋にならないよう、しっかり、実需を捉えていって欲しいと思います。

では、いつものコロナ禍以降の売上の動きです。

これを直近一年間に限って表すと、

やっぱり百貨店の落ち込みが気になりますね。

下記はコロナ禍以降のSCの対前年比を追い掛けたものです。

コロナ禍の反動が変わらず継続しています。

以下は各団体からの発表内容です。

【日本SC協会】

全国的に気温が上昇したことで夏物商材が稼働

前年同月比伸長率 +1.8%

<全体概況>

・ 6月度の既存SC売上高の前年同月比伸長率は、総合で+1.8%となった。

・月の平均気温が統計開始以来最も高くなるなど、全国的に気温が上昇したことで、夏物衣料や冷感アイテムなどの季節商材が稼働し、売上げにつながった。

・立地別にみると、中心地域は総合で前年同月比伸長率+3.0%、周辺地域は同+1.2%となった。

・中心地域はセールなど館の販促施策が奏功し好調だった。周辺地域はテナント入れ替えの効果があったSCが好調だった。

・業種別にみると、「ファッション」は気温の上昇に伴い夏物衣料や機能性衣料が好調だった。

・「雑貨、その他物販」はキャラクター雑貨や季節商材が好調だった。「飲食」は猛暑により冷たいメニューや夏限定メニューが稼働した。

【百貨店協会】

1.売上高総額 4,615億円余

2.前年同月比(増減率)

(1)全 国 -7.8%(店舗数調整後/5か月連続マイナス)

①10都市(10 地区) -8.5%(5か月連続マイナス)

②10都市以外(7 地区) -5.0%(店舗数調整後/9か月連続マイナス)

(2)国 内 -2.8%(店舗数調整後/5か月連続マイナス)

(3)インバウンド(免税売上)-40.6%(店舗数調整後/4か月連続マイナス)※

【特 徴】

・6 月の売上高は 7.8%減(5 か月連続)と前月(7.0%減)とほぼ同水準の業績推移となった。

・前年、高伸した免税売上(2024 年 6 月: 661 億円)の反動の他、休日数減(土曜 1 日減)による入店客数減(2.0%減)も影響した。

・インバウンド(免税売上):円高傾向の定着により高額品の購買減少が継続しており、売上高 392 億円(40.6%減/シェア 8.5%)と 4 か月連続マイナス。

・購買客数は 50 万人(13.8%減)で 2 か月連続マイナス。

・購買客数は香港、韓国が大幅減の一方、タイ、マレーシアは増加。

・購買単価は 31.2%減と苦戦。

・国内市場:先月まで回復傾向を示していたが、6 月は 2.8%減(シェア 91.5%/5 か月連続)と先月より 2.0 ポイントダウン。

・地方(10 都市以外の 7 地区)は 4.8%減と先月より 3.6 ポイントマイナス幅が拡大。札幌、京都、大阪の 3 地区はプラス。

・都市(10 都市): 全地区マイナス。

・福岡、東京、広島は二桁減。

・引き続き、前年免税売上の高伸影響が大都市店舗で目立つ。

・身のまわり品 22.0%減。

・美術・宝飾・貴金属 14.1%減。

・地方(10 都市以外の 7 地区): 全地区マイナス。

・入店客数は前年並み(0.6%増)も売上は先月より 3.4 ポイントダウン。

・商品別:主要 5 品目全て前年割れ。

・特にラグジュアリーブランドのバッグ、財布、靴等の高額品を含む身のまわり品は前年免税売上高伸反動、並びに前年価格改定前の駆込みもあり二桁減。

・月後半は高気温が続いたことで、サングラスや晴雨兼用傘等は好調。

・雑貨では、化粧品(6.3%減)はマイナスに転じたが、国内は UV ケアやスキンケア商品等が堅調。

・食料品は価格高騰影響等で 3 か月ぶりにマイナスとなったが、菓子は国内外の手土産需要が好調で 3 か月連続プラス。

・中元商戦はギフト市場の縮小もあり、贈答品は件数が減少傾向も、自家需要は堅調。

・月後半からのクリアランスは夏物衣料を中心に好調な滑り出し。

【チェーンストア協会】

※会員企業数 46社 / 店舗数 9,325店
※総販売額 1兆518億円   (店舗調整前) 101.6% (店舗調整後) 104.2%
<部門別の概況>
・食料品 7,305億円   (店舗調整前) 102.3% (店舗調整後) 105.7%
・衣料品 529億円   (店舗調整前) 95.9% (店舗調整後) 97.9%
・住関品 2,163億円   (店舗調整前) 100.0% (店舗調整後) 100.5%
・サービス 25億円   (店舗調整前) 101.1% (店舗調整後) 101.0%
・その他 494億円   (店舗調整前) 105.2% (店舗調整後) 106.0%

・2025(令和7年)6月度は、食料品は節約志向から買上点数の減少傾向が続いているが、値上げによる店頭価格の上昇などもあり販売額は伸びた。

・衣料品は気温の上昇と共に季節商品が動き始めたが今一歩、住関品はまずまずの動きだったこともあり、総販売額の前年同月比(店舗調整後)はプラスとなった。

 

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

Facebook:西山貴仁 -SC & パートナーズ-