SCアンドパートナーズ

Vol.747 「アナログを極めるのも選択肢」

DCSオンライン連載第44回で、デジタル化とデジタイゼーションとデジタライゼーションとデジタルトランスフォーメーションについて、やや屁理屈ぽく書いた。

でも、今、全てが全てデジタル化するのもどうかと思っています。


もちろん、コスト削減やスピードアップや人間のエラーを無くすために業務をデジタルに置き換えることは不可逆的に進むでしょう。

世界でも生産性がとても低いと言われている日本ですが、製造業はこの30年、相当、生産性が上がっている。

それに比べ、サービス業、特にホワイトカラーの生産性は致命的なほど向上していないとも言われています。

下記の連載にも書きましたが、テレビCMで「昭和っかつーの!」という事務職の方が請求書を自動化をした途端に在宅ワークで「バッチグー」とにこやかになる場面が出てきます。

でも、残念ながら、この「バッチグー」と言っている事務職の方は職を失うでしょう。

元々、プログラミングも、そもそもは「人減らし」のためです。

ルーチンワーク、定型業務、反復業務をプログラミング技術で自動化すれば省人化は進むし、エラーも減る。

これも受け入れなくてはならない。

では、SCの運営現場は?

社会的流行から各社「DXを急げ!」とか、関連会社も「営業DX!」とか。

そんな言葉が飛び交っています。

でも、このDXと言っているのは、DXではなくて、一部業務のデジタル化に過ぎない。

売上日報をデジタル化しても売上日報という仕組みが無くなることはない。

賃料請求のための一業務。

DXとはほど遠い。

ポスターをデジタルサイネージに変えて、事務所から一括して映像を送ればポスターの貼り替え業務は無くなり、楽になる。

でも、ポスターの機能は無くならない。

これもDXとはほど遠い。

店舗の在庫を自営のECと連動させても、それはデータのやり取りを作っただけでDXでは無い。

ここで何が言いたいか言うと、DXという言葉に惑わされていたずらに効率化を図り、ショッピングセンターなどリアルな場の良さを無くしてやしないか。

そう思っているのです。

ECがあっても無くても来たくなる場所。

ECやSNSが日常の今、出かけることが非日常。

人々の素敵な非日常を作り出すことがリアルなショッピングセンターには重要で、デジタル化はバックオフィスの合理化と認識して、フロント部分にもっとフォーカスを当ててもいいのではないか。

それはひょっとしたらアナログを極めることかもしれません。

そんなことを最近は考えています。

~DXという言葉に惑わされるな~

第44回 SCでDXが進まない致命的な理由とは

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これまで問い合わせ用メールアドレスをこちらに記載していたのですが、最近、営業メールの数が看過できないほど増えてきており、大変心苦しいのですが一旦閉じさせて頂きたくことになりました。
事情ご賢察の上、ご理解くださいませ。

株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

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