SCアンドパートナーズ

Vol.713 「ライブコマースで大切なものとは」

先週、開催されたSCビジネスフェアでのいくつかのセミナーに参加した。

その中の一つ、主催者企画セミナー「リアル店舗ライブコマースの課題と成功するためのノウハウ」に参加して気づきがあったので報告します。

まず、意外に空席が目立ったこと。

非常に興味深い内容だし、登壇者も今注目すべき方々だったので多くの方が受講されるのだろうと思って行ったのだがそうでも無かった。

「あれ、SC事業者の皆には刺さらなかったのか」と不思議な感じがした。

事務局に聞くと、「コロナ禍で来場者が減ったことやオンラインでのアーカイブ配信もあるので」「今、このくらいのディスタンスが取られた方が密にならずに助かる」というコメント。

確かにアーカイブ配信があれば、この第5波の中、「出掛けなくてもいいか」となるのも頷けるし、今、セミナーはオンラインが主流。

それにしてもこのテーマは、SCデベロッパーの皆の関心は低いのかな。

さて、今回、このセミナーを聞いて興味を引かれたのは次の2つ。

まず、一つ目。

ちょっとセミナーの内容からはズレるが。

最近、客席から投影される資料をスマホで撮影される方が増えた。

これも致し方ないこととは思うが、普段登壇する側からするとあまり気持ちのいいものではないので私はしない。

むしろ、撮影に気を取られて話を聞き逃して欲しくないので、こういった時は希望者には資料を後日メールすることを予め伝え、話に集中することを促すことが多い。

今回はそういったアナウンスも無かったのでスマホで撮影する方も多かったようだ。

すべてのページを撮影する方も中にはいるが、多くは気になるページを撮影する。

では、どのページを撮影するのか。

これは一目瞭然、皆がスマホを頭上に掲げ始める瞬間だ。

今回は、登壇者が普段作成している資料だった。

例えば、ライブ当日までのスケジュール表。

と言っても通常の日曜始まりのカレンダーにライブ当日までの準備が書き込まれたもので、実施しようと思えば逆算で作成することなど容易いと思うが、こういった事務的なバック作業に興味を持つ方が多いようだ。

私と言えば、登壇者の話すキーワードをメモる。

人それぞれ興味のポイントが違うものだと感心する。

そして2つ目。

登壇者の苦労話や体験談、技術的な話術やタイミングやインスタの操作方法など多くのことが参考になったが、その中で「なるほど」と思ったのが。

「大切なのは人間力」

どんなに素晴らしい編集を施そうとそのライブに登場する人に魅力がなければファンにはならない。

確かにyoutubeも登録者数が何万、何十万、何百万となるyoutuberには人を惹きつける魅力がある。

これはリアル店舗でも同じこと。

通り一遍の接客では無く、相手の立場、言葉で接する人には親近感も沸く。

これがネットだとつまらないと思えばすぐに離脱される。

ファンを獲得し、観てもらい、ECに誘導し、買ってもらう。

いやはや、これも難しい作業だ。

でも、ライブコマースの威力は、一人で何百人も一度に接客できることだろう。

リアル店舗では、店舗の営業時間は決まっているし、スタッフの数も限られる。

だから時間的物理的に接客できる人数にどうしても限界が出てしまう。

これがライブコマースだと時間も人数も、それこそ、地域も国も関係なく、接客ができる。

そして、今回印象に残った言葉は、「これからの販売スタッフは、オンラインとオフライン、両方のノウハウが必要になる」というコメント。

少子化の中、こういった人材を育てるのも大きな課題になりそうです。

聞き逃した方はアーカイブ配信で。

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

Facebook:西山貴仁 -SC & パートナーズ-