お店において接客のスタイルが変化しています。
1.対面販売(初期段階)
市(いち)、市場(いちば)などで物々交換や貨幣経済の進展と共に等価での取引が「対面で」「その場の交渉」で決まる時代。
かなり昔のように感じるが海外の途上国に行くとタクシーの運賃でさえ乗車前に交渉することが当たり前の国はまだまだある。
2.対面販売(店舗形態)
呉服屋、貴金属、小間物などなど注文生産(受注生産)の時代は、顧客と対面で販売することが普通だった。(ここにはまだ定価が無い)
3.対面販売(定価の登場)
百貨店の時計売り場、宝飾品売り場に行くとショーケースの飾られている商品を挟んで、店員とお客が会話する。
一般的に高価なものの場合が多い。
ただ、ここには定価が登場している。
陳列される腕時計にもネックレスにも正札が付いている。
4.側面販売(店員が商品を見ているお客の横から声をかけるスタイル)
この時代になると商品(既製服、つるしなど)が”見込み生産”で製造され、売り場(店頭)に並ぶ(陳列される)
お客自らが売り場を周り、お気に入りの服を探す。
ウインドウショッピングの文化が生まれた時代だ。
モノの無い時代から高度成長期に全盛を極める。
ここには定価があり、値引き交渉というのは基本的には行われない(場所や地域によってはあるが)
この頃から見込み生産による大量生産大量廃棄の時代に突入する。
5.セルフ販売(最寄り品)
対面販売だった八百屋、魚屋、肉屋が一カ所にまとまり、お客はカゴ(カート)を持ち、ワンウェイで商品をピックアップし、集中レジに向かう。
清算後も自分で袋詰めをする。今では袋自体もエコバックと称して自らで持参する。
店舗もあまり人を配置出来ないため商品管理が難しい面をITを使って管理するようになる。
売れ筋商品もPOSレジの登場で正確に把握できるようになった。
これを高度化したのがコンビニだ。
6.セルフ販売(買い回り品)
それまでセルフ販売は比較的低単価の最寄り品に限定されていたが、ICタグや監視カメラやレジの進化によって洋服のような買い回り品までがセルフ販売に移ってきた。
UNIQLOやニトリや無印良品が好例だろう。
お客は既にスマホなどから商品知識を持ち、特殊な接客を必要としない限り、セルフ販売を利用する。
7.ネット販売
そして2008年のスマホの登場、3G、4Gの普及によって急速に進んだのがこのネット販売(EC)
2020年からのコロナ禍もこれを後押しした。
過去、「洋服はフィッティングが必要だからネット販売には移らない」と言われていたものがZOZOなどあっという間に移ってしまった。
これらの変遷に言えることは、
1.販売のスタイルはこの課程を辿る歴史であること。
2.スーパーマーケットなどワンストップショッピングによる顧客の利便性の向上
3.時間を節約したい、価格をあらかじめ認識したいなど顧客側(需要側)のニーズ
4.販売者側の人件費削減やデータ収集と分析などの経営効率化
5.技術革新には抗えない。
これがその背景にある。
アマゾンGOなど無人店舗も日本においても徐々に実験が始まっている。
まだまだ進化は止まらないだろう。
だからと言って今後も対面販売は無くならないし、側面販売も無くならないだろう。
それは商品の特性もあるし、買い方に対してこだわりを持つお客も一定数はいるからだ。
ただ、今のシェアが維持できるかというとそれは難しいだろう。
過去、医療行為が必要と思われていたメガネが側面販売になり、ネット技術が進むことでスーツがD2Cで販売されるようになった。
ショッピングセンターに従事している人は、今、自分のSCの中ではどんな販売形態で売られているのか。
それを前提に、販促主体のプロモーション活動の内容や接客ロープレなどスタッフ研修のあり方も考える時代になってきたことを感じます。