SCアンドパートナーズ

Vol.557 「2021年3月期、SC、百貨店、チェーンストア売上状況」

SC、百貨店、チェーンストアの2021年3月の売上状況が発表されました。

それぞれの業界団体からの解説は次の通りです。

【日本SC協会】

既存SC前年同月比 :+12.5%
コロナ影響から一年経過し、前年反動でプラスとなるも、依然として厳しい状況続く。

・3月度の既存SC売上高(総合)は前年3月が営業時間短縮や外出自粛により大きく落ち込んだ反動で前年同月比+12.5%となった。

・テナントは総合で同+14.3%、キーテナントは同+5.7%となり、前年3月の落ち込みが大きかった分テナントのプラス幅がキーテナントを上回った。

・前年同月を上回ったのは消費増税の駆け込み需要がみられた2019年9月以来18か月ぶりだが、コロナ影響を受けていない前々年(2019年3月)と比べると総合で約▲20%と厳しい状況が続いている。

・立地別・構成別をみると、中心地域・総合が前年同月比+11.1%、周辺地域・総合が同+13.1%となった。前年3月の落ち込みが比較的小さかった周辺地域・キーテナント以外では10%超の伸長がみられた。しかしながら、2019年比では、大都市・総合が約▲30%、中都市・総合が約▲20%、周辺地域・総合が約▲15%の水準となっており、コロナ前の水準には回復していない。

・立地別・地域別をみると、北海道は前年3月に▲45.2%と他地域と比較して大きく落ち込んだこともあり、当月は前年同月比+30.7%と大きなプラスとなった。

・一方、コロナ感染者数が急増した宮城県を含む東北は中心地域が同▲1.7%と全地域で唯一のマイナスとなり、周辺地域も同+4.7%と小幅な回復となった結果、総合でも同+2.6%のプラスに留まった。

・都市規模別・地域別をみると、札幌市が総合で前年同月比+31.1%、北海道(札幌市を除く)が同+28.7%と大きく伸長した。また、大都市では東京区部が同+12.2%と、21日までの緊急事態宣言が明けて以降、徐々に来館者が戻ってきたこともあり、札幌市に次ぐプラス幅となった。

・一方、仙台市は同▲8.7%で、コロナ感染の急拡大を受けて宮城県と共同で独自の緊急事態宣言を発出(18日)したこともあり、来館者が大幅に減少したことが影響し前年を下回った。

・業種別動向をみると、2月に続き暖かい日が続いたこともありアパレルは春物商材が堅調だった。

・また、21日まで緊急事態宣言が継続されていた1都3県では、宣言解除に伴い飲食店の時短要請が20時から21時に緩和され夜の時間帯の集客が改善したとの回答もみられた

【百貨店協会】

・3月の売上高は、21.8%増と18か月ぶりのプラスとなった。前年の新型コロナウイルス感染拡大による臨時休業や時短営業の反動に加え、緊急事態宣言の解除や、各社が企画した会員向け施策等が寄与した。

・コロナ禍の影響を受けない前々年比では19.1%減と、ほぼ前月(前々年比21.9%)並みの水準であった。

・顧客別では、富裕層を中心とした高額消費やイエナカニーズが牽引し、国内市場は21.9%増(5か月ぶり/シェア98.6%)となった。インバウンドは17.1%増(14か月ぶり/シェア1.4%)だが、前々年比では83.3%減と厳しい状況に変化は見られない。

・地区別では、全地区でプラスし、その内訳は大都市が25.0%増(10都市/18か月ぶり)、地方が14.6%増(10都市以外の地区/5か月ぶり)と、14か月ぶりに大都市が地方を上回った。

・商品別では、主要5品目全てでプラスとなった。高級時計やラグジュアリーブランド等の高額品、インテリアやキッチン関連、家電等の家庭用品が比較的好調だった。

・衣料品は、ビジネス関連は不調だったが、気温の上昇に伴いブラウス・カットソー等春物商材が動いた。また、卒入学などのオケージョン需要から、フォーマル関連や、アクセサリーなど身のまわり品も伸びを見せた。食料品は、物産展やホワイトデーなどの食品催事の他、送別や新生活
祝いなどギフト需要も底堅かった。

・コロナ禍にあって、各社とも密を回避する様々な施策を打ち出しているが、特にデジタル活用策は拡がりを見せており、EC売上は高伸が続いている。なお、最近のコロナ感染状況を踏まえ、加盟各店ではより一層感染防止対策に注力し、安心・安全な売場環境の整備を最優先に、新たな生活様式に適合する施策を行っている。

(1) 天 候 : 気象庁発表「3月の天候」の特徴は以下のとおり(一部抜粋)
◇気温は北からの寒気の流れ込みが弱く、暖かい空気に覆われたため、全国的にかなり高く、北・東・西日本では、記録的に高かった。降水量は北日本太平洋側、東日本太平洋側で多く、日照時間は西日本日本海側でかなり多かった。
(2) 営業日数増減 30.9日(前年同月比 -0.4日)
(3) 土・日・祝日の合計 8日( 〃 -2日/土曜・日曜各1日減)
(4) 入店客数増減(回答店舗数で見る傾向値/前年同月比/有効回答数107店舗)①増加した:64店、②変化なし:15店、③減少した:28店
(5) 3月歳時記(ホワイトデー、卒業・入学、新生活)の売上(同上/有効回答数75

【チェーンストア協会】

※会員企業数 56社 / 店舗数 11,789店
※総販売額 1兆906億円   (店舗調整前) 105.5% (店舗調整後) 101.3%
<部門別の概況>
・食料品 7,397億円   (店舗調整前) 103.7% (店舗調整後) 99.2%
・衣料品 720億円   (店舗調整前) 114.0% (店舗調整後) 106.7%
・住関品 2,146億円   (店舗調整前) 109.1% (店舗調整後) 105.9%
・サービス 16億円   (店舗調整前) 82.8% (店舗調整後) 72.8%
・その他 626億円   (店舗調整前) 106.9% (店舗調整後) 106.9%

令和3年3月度は、昨年の外出自粛要請や休校による内食消費急増の反動の影響を受ける中、食料品では惣菜が堅調に推移し、衣料品は春物商材に一部動きが見られ、住関品もまずまずの動きだったことから、総販売額の前年同月比(店舗調整後)はプラスとなった。
部門別の詳細はhttps://www.jcsa.gr.jp/public/statistics2021_03_2.html

以上、ショッピングセンターと百貨店は、コロナ襲来後の昨年と比較すると大きく売上を伸ばしているものの、コロナ襲来前の2019年と比べると依然20%程度の落ち込み。

また、4月25日から首都圏を中心に緊急事態宣言が発令されていることからしばらくはこの低迷は続きそうです。

それにしても、世界一速いスパコンを保有するのにワクチンを作れない日本。

そして、日本のワクチン接種率2%。

これはOECD加盟国で最下位だそうです。

何だか釈然としません。

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

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