コロナのニュースに隠れがちにIRの準備は進んでいる。
この場合のIRとは、インベスターリレーションズではなく、「統合型リゾート(Integrated Resort)」のこと。
統合型リゾートは、カジノが前面に出てしまいがちだが、実はカジノはほんの一部でしかない。
統合型リゾートには、国際展示場などを含むMICE施設、宿泊施設、イベント会場、エンターティンメント、文化芸術振興、商業施設などが設置され、それぞれの面積なども規制される。
宿泊施設に至っては、総面積や客室のグレードまで指定される。
横浜市の発表した「横浜特定複合観光施設設置運営事業(2021年1月21日)募集要項」にも次のように記載されている。
「カジノ施設のカジノ行為区画のうち専らカジノ行為の用に供されるものとしてカジノ管理委員会規則で定める部分の床面積の合計はIR施設の床面積の合計の 100 分の3を超えないこと(IR整備法第 41 条第1項第7号、IR整備法施行令第6条)」
要は3%しかカジノは作れない。
これで採算が合うのか、と心配になる規模だが、法律等によって規制される。
・特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(平成 28 年法律第 115 号)
・特定複合観光施設区域整備法(平成 30 年法律第 80 号)
ということで前出の横浜市が発表した募集要項は下のURLから詳しく見ることが出来る。
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/seisaku/torikumi/IR/RFP.files/youkou.pdf
この中には、驚くほど詳細に記載されている。
(これを読み解いて応募する事業者も相当大変だろう)
場所は、山下ふ頭。
現在の山下ふ頭
募集要項(2021年1月21日)を見ると今夏には事業予定者が選定されるらしい。
では、いつ開業するのか。
このスケジュールを見ると「2020年代後半」とかなり先になりそうだ。
ただ、横浜市民の間では反対論も根強く、是非を問う住民投票のための署名が行われ、結果、規定数以上を集め議会へ上程されるまで至っている。(議会では否決)
国民の間にもギャンブル依存症やマネーロンダリングへの心配や、そもそも日本にカジノが必要か、と言った議論もある。
確かに山下公園周辺の佇まいを見ると本当にここが適正なのか、という疑問もある。
銀杏並木が素晴らしい街並みだ。
では、商業施設の見地で見るとどうなるか。
諸外国で展開されるIR施設における商業施設は非常にユニークであり、人々を楽しませている。
ラスベガス
マカオ
シンガポール
今はコロナ禍の真っ最中。
皆の意識もそこに集中していると思う。
でも、IRは進んでいる。
ただ、今回のコロナ禍を経験して、展示会のようなイベントはオンライン化出来ることも分かった。
そして、物販もECが進む。
2030年には6Gの時代が訪れる。
カジノのオンライン化も容易いだろう。
IRが開業する時、今とは全く異なる社会となり、MICEのスタイルそのものもどのように変化しているのだろうか。
IRを考えていたのは4Gの時代。
それが今後5G、6Gを経験しながら計画は進む。
だからIRが実際に出来上がる頃は、今考えているものとは異なるものが出来ていると思っている。