御殿場プレミアムアウトレットの新しいエリア「ヒルサイド」では、地形の高低差を利用して一つの建物を1階と2階、両側から利用するユニークなケースを紹介しました。
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実は、もう1つユニークな取り組みがあります。
それは店舗前通路上の屋根(庇)を工夫することによって解放感を出している設計です。
これまでのパターンはこちら。
店舗の前に雨除けの庇(屋根)
これを柱によって支えています。
さて、下が今年開業したヒルサイド。
何が違うか分かりますか。
以前コラムでは左の2階建てのような建物の2階は上の段では1階の店舗になっていると言うことでした。
今回のポイントは右側の建物です。
と、その前に左側の写真です。
屋根の下には柱がありますね。
屋根を支えています。
ところが。
この写真で分かるように店舗の屋根を支える柱が無い!
「片持ち梁?」
ちょっと専門用語ですが、片方で自重を支える構造。
これが何をもたらすでしょうか。
他でも無い、庇下の通路とセンターの通路の一体化と広がりです。
さてさて、いかがですか。
よく工夫されていますね。
でも、実はグランベリーモール(2000年開業)では、全く逆のことをしました。
それがこの写真です。
屋根を支える柱がとても太くがっしりしていますよね?
何故だと思いますか?
これは通路を歩いていると視線の先では柱が重なって見えるので、まるで壁のように見えます。
でも、一旦センターの通路に出ればオープンモールに見える。
これは庇下の通路を歩く時の視覚と、道路のセンターを歩く時の視覚を変えて、「イメージをスイッチさせよう」と考えたからです。
この2つは、どちらが良いとか悪いとかの話ではありません。
お客様にどうやって感じてもらうか。
それだけです。
そして、ハードを工夫するだけで、人の視覚をコントロールするだけで、商業施設の見え方は大きく変わるということ。
よく「ハードよりソフトの方が重要だ」と言われます。
それも間違っていません。
でも、ハードも大切な要因であることをこの2つの例から感じていただけると思います。
次回、御殿場プレミアムアウトレットなどのオープンモールのショッピングセンターに行った時は是非それを感じてください。