2020年7月22日、経済産業省から「電子商取引の調査」結果が発表された。
コロナのせいか例年より遅く感じる。
結果は見ての通り、右肩上がりだ。
数字は昨年のものなので、このコロナ禍による自粛期間はこれを相当上回っているだろう。
この報告書では、
「令和元年の日本国内の BtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、19.4 兆円(前年 18.0 兆円、前年比 7.65%増)に拡大しています。また、令和元年の日本国内の BtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は 353.0 兆円(前年 344.2 兆円、前年比2.5%増)に拡大しています。
また、EC 化率※1 は、BtoC-EC で 6.76%(前年比 0.54 ポイント増)、BtoB-EC で31.7%(前年比 1.5 ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展しています。」
と主張している。
今回の報告書では、上図の右側にある、「CtoCーEC市場規模」が記載された。
メルカリなどの消費者間の取引だ。
消費者間で1兆7千億円の取引があることには本当に驚かされる。
日本中に点在するアウトレットモールの総売り上げ規模が1兆円にも満たないと言われている中、この数字は驚異的だ。
あともう一つ、公正取引委員会からも面白いデータが発表されている。
ショッピングセンターや百貨店が一番恐れるショールーミングの利用実態だ。
百貨店に入社した方が、先輩に「洋服はECには移らないよ」と言われたと聞いたことがある。
その「洋服はECには移らない」と言った百貨店の先輩の意図は分からないが、その予想は大きく外れたようだ。
では、ECの他の売上はどうなっているのか。
それが下図だ。
それぞれの業界団体から発表された数字を一つにまとめてみた。
ショッピングセンターの2019年売上が落ちているのは、これまで消費税込みだったものを2019年から消費税を抜いているからだ。
ただ、全国に3000か所を超えるSCの全数調査を行えるわけではないだろうから、推計値になっているのだろう。
また、百貨店の数字も百貨店の中にある定期借家契約のテナントの売上高が含まれているのかどうかも不明だ。
ショッピングセンターの売上もテナントの売上であってショッピングセンターの売上ではないのだから、百貨店も自らの売上高だけでなく、入居するテナントの売上を売上として計上すれば恐らくもっと大きな数字になるだろう。
ということで、これらの数字の信ぴょう性にやや不安もあるが、少なくとも見た通り、ECの伸びのいかに大きいかは一目瞭然だ。
このまま行くとどこまで伸びるのだろうか。
ここで、注意して欲しいのは、こういうグラフを見ると「店舗の売上が落ちたのはECのせいだ!」と短絡的に叫ぶ人が出てくるもの。
しかし、この報告書では、洋服のEC化率は、13.87%と分析されている。
この13.87%すべてがショッピングセンターや百貨店の売上からだけ移っているわけでは無いし、新たなニーズかもしれない。
確かに影響はあるだろう。
だからと言って、「お店の売上不振はECのせいだ!」と100回言い続けても何の解決にもならない。
では、どうするのか。
それをそれぞれの立場で知恵を絞って考える時なのである。
報告書を詳しく見たい方はこちらから⇩
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/r1_kohyoshiryo.pdf