セミナーや研修では、受講者の業務のヒントになるようなフレームワークを提示することが多い。
事象の構造化や考え方や結論を導くための手順など。
すると「具体例を教えて欲しい」「事例を知りたい」という質問を受ける。
今週もそんな場面に遭遇した。
実はこれが一番困る。
何故なら、質問者がどんなSCを担当していて、そのSCにはどんなお客様が来店していて、そのSCの売上高も抱える課題も分からない。
それこそ、SCの店舗数すらも分からない。
そんな状態では具体例など挙げても仕方ないし、キリが無い。
しかし、「何でもいいから事例を」とさらに問いかけられる。
仕方なく、いくつか事例を挙げるが、ここにはあまり意味がない。
意味が無いどころかその人に混乱さえ与えてしまうことがある。
こういった質問をする方に共通することがある。
それは「課題を認識していない」ことだ。
例えば、販促の事例も、「平日の来店者数を増やしたい」「お母さんの来店頻度を上げたい」「お父さんも一緒に来て欲しい」、こう言った明確な課題認識があれば手法なんていくらでも出てくるはずだ。
ところが、課題も漠然としていて、自らの成りたい姿も認識していないと、やたら、事例や具体例や手法を聞きたがる。
でも、いくら手法や事例を集めても、自分がどうしたいのか、何を解決したいのか、目標は何なのか、これらが無いと情報に溺れるだけだ。
解決策は、課題が無ければ意味が無い。
目標がなければプロセスは作れない。
まず、課題を認識しよう。
そして、答えを他人に求めるのではなく、まずは自分ごととして考えよう。
何故なら、自分の仕事を一番分かっているのは自分なのだから。