SCアンドパートナーズ

Vol362 「売上に依存しない収益モデル」

新型コロナウィルスの影響は経済に与える影響が計り知れないものになってきました。

個人レベルでは収入の減少と失業、企業レベルでは運転資金が回らず倒産、なんてことが本当の起こりそうです。

今年1月のSCビジネスフェアでのプレゼンで、

「SCはテナントの売上に依存しない収益モデルにしなければいけない時代になる」

と主張しましたが、早くもその懸念が眼前のものとなってしまいました。

SCに入居するテナントは物販が減少し、医療などの売上の無いテナントが増加することで売上歩合制賃料が早晩息詰まること。

そして、人口減少によって当然に売上は前年を超えられないこと。

新規開発でも商業用途だけでなく、多様な不動産用途による複合開発(MIXED-USE型)が主流になること。

こういったことからテナント売上に依存したSCビジネスモデルは苦境に立たされることを主張したのですが、早くも疫病の登場によって、それが現実のものとなってきました。

これがSCビジネスモデルの脆弱性とリスクです。。

2000年当時、「SCは最強の流通業態」と言われていた頃が懐かしいです。

人口が増え、経済が膨らみ、消費も増加し、新しいテナントも生まれて、海外からも多くのテナントがやってきた時代とは明らかに違う今の時代。

国の成長過程で言うと「中産階級が増加するフェーズは日本ではもう終わってしまった」ということなのです。

成熟社会と人口減少社会

〇〇1号店、新業態、春のリニューアル、接客ロープレ。

こういうことと並行して、そもそもEC時代でのSCの役割と機能を考え直さないといけない時代になってしまいました。

今回のウィルス騒ぎは、インフルエンザのように治療薬が開発されるまでは、根本的な沈静化は訪れないでしょう。

だから、売上依存のSC収益モデルは厳しい局面に立って行くと思います。

でも、これもSCビジネスだけではありません。

グローバル化と人口減少の下、相当な創意工夫をしないと全てのビジネスが立ち行かない時代になっていくのではないでしょうか。

西山貴仁 
nishiyama@scandpartners.jp

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

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