SCアンドパートナーズ

Vol.336 「固定賃料化の本当の意味とは」

SCビジネスフェアでのセミナーで賃料は、固定賃料化が進むとお伝えした。

一部の方から「SCは単なる不動産賃貸屋になるのか」とご指摘を頂いた。

何らかのプライドを持っての発言かと思うが、こういった「こだわり」が次への変化を邪魔することが多い。

そもそも、ショッピングセンター事業は、不動産賃貸業。

これまで、そう言われたくないのか、マーチャンダイジング型デベロッパーとか、ノンリテーラーマーチャンダイザーと表現していた。

横文字を使って表現するのも結構。

でも、お伝えした通り、出生数が3分の1になる時代において、そんなことばかり言ってられないだろうと思う。

でも、決して、今までの積み上げやお客様の期待を裏切って、ビジネスが上手く行くとは思っていない。

では、賃料の固定化にはどんな意味があるのか。

これにはいくつかの理由があるので、その理由を毎日一つずつ、アップしていきたい、

まず、SCのビジネスモデルはテナントの売上に依存ため、テナントの売上に一喜一憂する。

そのためかけるコストと時間が膨らむわけだが、そのコストと時間が、営業指導など人による人海戦術だったり、ロープレのようなイベントだったり、50年前と変わらないアナログ的な活動に相当なコストをかける。

それが利益を圧迫する上、デベロッパー社員の能力開発を阻害していると感じている。

考えてみてほしい。

接客ロープレ担当でテナントスタッフと毎年泣き笑いは楽しい。

でも、そこに汎用性のあるノウハウのその社員に残るだろうか。

3年後、その社員は、グローバルな時代を生きていける若者となっているのだろうか。

接客ロープレが悪いというつもりは無い。

店舗スタッフの技能もモチベーションもとても大切だ。

でも、それはテナント企業の専権事項。

商品を理解し、お客様のニーズを汲み取り、満足のうちにお買い物やお食事をして頂き、そしてまた来てもらう。

この一連の行動は、テナント企業の責任でデベロッパーのやることではない。

デベロッパーにはまだ他にやることがあるのではないか。

そこを真剣に考えて欲しい。

テナントの中には、SCが接客ロープレをやることを評価する方もいるし、逆にブランドを毀損するから止めてほしいと言う方もいる。

でも、賃貸借契約で取得した独占的排他的占有権をテナントはもっと主張していいし、その代わりに責任を全うする。

もう、普通借家の時代は終わった。

今は、期間の決まった定期借家の時代だ。

デベロッパーとテナントはイコールパートナーの時代は終わり、「ビジネスパートナー」なのだ。

これがまず賃料の固定化の1つ目の理由である。

売上を上げる必要は無いと言っているわけではなく、売上を上げるのは、テナントだ、と言うことである。

そのテナントの売上を上げるためにデベロッパーは何をするのか。

次回に続きます。

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これまで問い合わせ用メールアドレスをこちらに記載していたのですが、最近、営業メールの数が看過できないほど増えてきており、大変心苦しいのですが一旦閉じさせて頂きたくことになりました。
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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

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