年間を通じて、国内海外を問わず、いろいろな商業施設や歴史的建造物や文化行事などを精力的に見て回っている。
とにかく「百聞は一見にしかず」
何事も見なきゃ始まらない。
これが企業にいると遠方への視察出張がなかなか許されない。
企業の中には「視察出張は許さん」と言う方もいる。
調査法を少しでも勉強すると分かるが、調査には3つの手法がある。
それは
1.聞き取り法
2.実験法
3.観察法
の3つだ。
聞き取り法とは、アンケート、グループインタビュー、店頭インタビューなど聞き取ることによって、定量、定性の情報を収集するもの。
実験法とは、テストマーケティング。
新商品を売るとき、全国で販売せず、まず静岡県で販売してみるメーカーの行動や商業施設ではポップアップで反応を見て本出店に移るなどの活動がそのテストマーケティングに当たる。
そして、観察法。
これは見ることによって得られる情報だ。
定点観測などがその一例だ。
視察は、この3つの調査法のうち、観察法に該当する立派な調査法にも関わらず、「視察は遊びだ」と言ってはばからない方もいたりする。
もしくは、「誰かが行って、それを共有すれば事足りるだろ」とか。
でも、テナントリーシングの担当者がテナント企業の店舗開発部長を訪ねた時、
テナント 「うちの先日出した博多の店見てくれました?」
SC 「いえ」
テナント 「え、じゃあ、札幌の店は?」
SC 「いえ、見てません」
テナント (この人、本当にうちに出店して欲しいと思っているのだろうか・・)
と疑いたくもなる。
これが、しっかり見ていれば、
テナント 「うちの先日出した博多の店見てくれました?」
SC 「ええ、もちろん見ましたよ、あのファサードいいですね」
テナント 「そうでしょう? じゃあ、札幌の店は?」
SC 「もちろんです。今回はチャレンジしましたね、でも、当社としては先月開店した名古屋のお店、あそこがイメージなんですよ、とても気に入りました、ぜひ検討しれくませんか」
とテンポ良く話が弾む。
SCデベロッパーは、テナントさん以上に見ていないと相手に勉強不足を感じさせてしまう。
ところが、「私は見ていませんが、他の社員が見ています」
これじゃ、全く迫力が無い。
見ないと始まらないのだ。
実例を紹介しよう。
2000年に開発したグランベリーモールは、デザートヒルプレミアムアウトレットとギルロイプレミアムアウトレットのファサードデザインを参考に、コンセプトは「ミルズコンセプト」をベースにした。
当時、ガーニーミルズ、オンタリオミルズ、グレープバインミルズなどをつぶさに見て、当時考えもしなかったプロパーとアウトレットの複合の可能性を確信してのプランニングだった。
ミルズコンセプトに出会わなかったらあのプランは出来なかっただろう。
そして、2007年から順次開発した「たまプラーザテラス」は、コモンアットキャラバサスのライフスタイルセンターのコンセプトとザ・グローブの空間と広場の考え方をベースにプランニングを行った。
そして、コロラドのパークメドウズのハイブリッド型モール。
これで今のたまプラーザテラスの原型が作られた。
この2つだって、事例を見なければデザイン出来なかったと思う。
真似じゃないか、という方もいるだろう。
でも、気候も風土も違う場所で同じものなど作れる訳がない。
そこから得られるインスピレーションとインスパイアがあって初めてアイディアがジャンプする。
だから、当時、出張に行かせてくれた上司達には本当に感謝している。
SCは、雇用関係の無いテナントスタッフの研修や接客ロープレには相当な金額を投下する。
ところが自社社員の出張には厳しい。
おかしくないか。
テナント研修がいけないと言っているのでは無い。
調査でもアンケート調査にも相当の金額をかけるのに、いざ、社員の視察になると厳しくなる。
観察法という調査法を理解せずにメンタリティでダメ出しをする方も多い。
かわいい子には旅させろ。
その代わり、しっかりその成果を求める。
楽しかった、では困る。
視察に行くなら、目的をしっかりと持ち、その成果を出す気概を持って行って欲しいし、それを認める企業であった欲しい。
私の願いでもある。