Vol.226でコンセプトとキャッチコピーを混同するな、と指摘した。
コンセプトとは、「誰に」「何を」「どうやって」提供するか。
それを決めること。
ところがSCのリリースや企画書には「コンセプトは、〇〇〇!」とおおよそ横文字のキャッチ―なワードが躍る。
これはどうしたことか。
コンセプトは誰に何をどうやって提供するのか決めることではなかったのか。
でも、その決めたコンセプトを長々と広告には書けないし、読むことで顧客の理解を得ることは相当時間がかかる
意見広告のように新聞1ページを使い、長々と説明する手法はある。
しかし、顧客のすべてが興味を持ち、そこに時間を費やすことは期待できない。
そこで、「コンセプトは〇〇〇!」と1行で表すワードを考えることになる。
そして、それをコンセプトと表現する。
だから、キャッチ―なワードをコンセプトと表現しても何ら問題があるわけでない。
消費者は何らかの経路で情報を受信すると一旦内部化する。
内部化とは自分の心の中、頭の中で自分なりの理解をする。
そして、その内部化された情報を表出化するタイミングがある。
そのスピードを上げるものがキャッチコピーなのだ。
近くて便利 セブンイレブン
あなたとコンビニ ファミリーマート
わたしらしくをあたらしく ルミネ
Inspire the Next 日立
“The Life With Culture” ららぽーと横浜
こういったキャッチコピーを聞くだけでその企業や店舗が提供しようとする価値(コンセプト)が即座に理解できる。
要するにコンセプトの全文を「記号化」したのだ。
「記号化」
これは言葉だったり、色だったり、ロゴだったり、いろいろなパターンが存在する。
とにかく顧客にとって常に一定のイメージと提供する価値を瞬時に理解してもらおうというものなのだ。
今日、主張したいことは、このキャッチコピーはあくまでコンセプトをが背景(基礎)にあるからこそ、作ることが出来る。
ところが「コンセプトを考えてください」、とお願いするといきなりこの「キャッチコピー」を考え始める人が多い。
そして、「いやー、いい言葉が出てきません」となる。
でも、コンセプトは誰に何をどうやって提供するのか、それを考えること。
キャッチーなワード開発はその道のプロ「クリエイター」や「コピーライター」の仕事。
事業者はあくまでその基礎となり根本となる考え方や方針を考えることが重要なのだ。
顧客への提供価値。
これがすべてを規定する。
前回のニトリのダイニングテーブルのデザインはこのコンセプトを具現化したもの。
好事例だろう。
https://scandpartners.jp/blog/post-3293
顧客に提供したいものは何か。
これをまず決めることがコンセプト設計なのだ。