SCアンドパートナーズ

Vol.192 カジノ商業とは。

ラスベガスと言えばこの夜景。
24時間眠らない街。
ギャンブルの街。
そんなイメージが強いけど、実際はもっと懐が深く、老若男女が楽しめる街。
とにかくホテルの客数が多い。

1つのホテルで1,000室、2,000室は当たり前。
MGMのように6,000室のホテルもある。
6,000室もあると部屋からフロントまで15分かかる。(本当に)
超巨大だ。

オーシャンズ11で舞台になったベラッジオ。

シーザーズパレス

ニューヨークニューヨーク

1つ1つが巨大なので見ると近く感じるけど歩き始めるとものすごく遠くにあることが分かる。

世界の12大ホテルのうち、11ホテルがここラスベガスにあるらしい。
でも、ここに泊まる人全員がギャンブルをするわけではない。
ショーに食事にエンターテインメント。
少し足を伸ばせばグランドキャニオン、ヨセミテ国立公園、デスバレーなどの大自然も近い。
そしてお買い物。
長期間滞在しても飽きることは無い。

昔、カジノを中心に発展してきたラスベガスも徐々にその力を失い、その改善策として今のような総合エンターティメントシティに生まれ変わり、みごと活気を取り戻した。

そのほかにも重要なのがMICE。
コンベンションセンターやカンファレンスセンターも整備され、全米全世界から人が集まる。
そういう私も今回はAIAのカンファレンスに合わせて来た。

AIAのカンファレンスが開催されたコンベンションセンターは、毎年、ICSCのカンファレンスも開催される場所だから、ショッピングセンター業界の方も来た人も多いと思う。

その中で老若男女が楽しめるものと言えば買い物。
そのニーズに応えるべく、ここには多種多様なショッピングセンターが立地する。

その中でも有名なのは、シーザーパレス内のフォーラムショップス。
経営はご存知、サイモン。
ここはシーザーパレスから売却され、独自に運営がされているらしい。

シーザーパレスホテル。4,000室。

このシーザーパレスホテルの中にフォーラムショップスはある。

屋内空間に異次元な空間が広がる。
ここは旅行者がターゲット。
それも非常に幅広い客層を対象にしているので、H&MやGAPもあればコーチもヴィトンもある。
オールマイティだ。

ここでは毎正時に炎を使ったショーが開催される。
機械化されたものだけど火の熱さを感じる本格的なもの。
この屋内で火を使うのは日本では無理だろう。

メゾネットのH&M
ここは以前、FAOシュワルツだったと記憶している。

空間演出は完璧。
外気温は38℃なのにここは快適な空間だ。
ラスベガスのストリップエリアでは、ここフォーラムショップスがブランドのラインナップが一番充実している。
さすがサイモン。

そしてサンズの経営するベネチアン。
サンズは、シンガポールのマリナベイサンズで一躍有名になったけど、こちらはずっと古い。
4,000室。

この中にはグランドキャナル。
マカオのベネチアンと同じだ。

運河が整備され、そこをボートが行き来する。
もちろん、乗ることもできる。

次にウィンとアンコール。
ここは合わせて4,700室だ

この2つは比較的新しいホテル。
ここの商業施設は他とは違いシックで落ち着いている。

だから、ここが好き、という業界関係者は多い。

Rがうまく使われていて品がある。
モニュメントのユニーク。

ブランドショップも並ぶ。
ヴィトンのビジュアル。

緑もふんだん。

装飾もかわいい。

次は、Fremont Street Experience
ストリップから少し離れたダウンタウンの街を大きなアーケードが覆う。
この屋根に毎夜、定時にライティングショーが開催される。
屋根を画像が走るイメージ。
たくさんの人が集まり、毎回、熱狂に包まれる。

この両側にはカジノホテルが建ち並ぶ。
ダウンタウンと呼ばれる場所だけに昔はここが中心だったのだろう。

20年前、初めてラスベガスに来た理由は、このFremont Street Experienceを見たかったから。
雑誌でこのキラキラした写真を見て、どうしても見たくて9,000キロかけて来た。
そして今回、6回目のラスベガス。かなり魅了された証拠だろう。

次はプラネッドハリウッド。
以前、ここは「アラジン」という名前だった。
経営が変わり、デザインも中東のイメージからハリウッドへリニューアルされている。

ここには「ミラクルマイルショップス」

経営が変わりゴタゴタしているうちにブランドのラインナップもダウンしてきていたので心配していたけど今回来てそれらが払拭されていることに安堵した。

ブランドのラインナップは今ひとつだけど、シアターなどのエンターテイメントが充実していて、若者で混雑している。
違った路線を確立したようだ。

面白かったのはロボットによるバー。
設置された端末でオーダーするとロボットアームがカクテルをその場で作り提供してくれる。

こんな時代がやってくるのだろうか。

ラスベガスには、3つのアウトレットセンターがある。
プレミアムアウトレット・ノース
プレミアムアウトレット・サウス
ファッションアウトレット
の3つ。
今回は、プレミアムアウトレット・ノースだけの訪問。

アウトレットセンターは、プロパー店との軋轢を避けて、市街地からは60km~100km程度のところに造るのが一般的。
でも、ここはストリップから近い。
車で10分ほど。
そのせいかプレミアムアウトレットにも関わらず、ブランドのラインナップが今ひとつな印象を受ける。
暑いラスベガスにあってもオープンモールを貫くところが偉い。

アメリカのアウトレットセンターには飲食施設はほとんど無い。
ご飯なんて食べてないで買い物してくれ、ということだが、ここもフードコートしかなかったが、今回来たらシェイクシャックが。
少しずつ、飲食施設も充実させているようだ。

ラスベガスでアウトレットセンターと言えば「ファッションアウトレット」が古くから有名だった。
西へ車で40分ほどのところにあるファッションアウトレットはここプレミアムアウトレットとは違い「レースサーキット導線の完全インモール型」
暑い砂漠地帯では快適に買い物が出来る。

「ファッションアウトレット」に行く途中にもう一つのアウトレットセンター「ベルツアウトレット」がある。(いや、あった)
ベルツは、経営が変わり、今はプレミアムアウトレット・サウスとなっている。

プレミアムアウトレットが2つになり、古くからあるファッションアウトレットが心配された。
でも、市街地から距離があるからこそのブランドのラインナップが継続して未だ健在のようだが、以前あったプラネッドハリウッドからシャトルバスが無くなり旅行者にとっては不便な場所になってしまったことが残念だ。

ここまでいくつかのカジノに関する商業施設を紹介したが、この他にもまだまだショッピングセンターは立地する。
郊外に行けばモールもあるし、住宅立地に行けばライフスタイルセンターがあるし、レイクラスベガスのようなリゾート地もある。
ラスベガスは懐が深い。

そして多くのショーが無料、有料問わず毎日毎晩行われている。

シルクドソレイユ”o”の会場は豪華だ。

私は常々、ショッピングセンターや商業施設に関わる人は絶対にラスベガスを見るべき、と思っている。
理由は、これまで紹介したようにすべてがダイナミックでエンターテイメントを実現しているから。

カジノの収益でショッピングセンターも運営されているんでしょ?という声があると思うが、単体単体の見方ではなく、街全体を形成していくパワーや工夫や、ここまで成長してきた歴史を学ぶことで施設運営のヒントはたくさんある。

残念ながら日本からは直行便は無いので、ロサンゼルスやサンフランシスコの空港を経由することになるけど、是非、ラスベガスの商業施設を見て欲しい。
ネットやECには無いリアルの価値が満載

出来れば夏は行かない方が良いです。(めちゃくちゃ暑いからね)

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

Facebook:西山貴仁 -SC & パートナーズ-