全国百貨店売上高は9兆円をピークに下がり続け、2018年は5.8兆円となった。
特に中小都市における中小規模の老舗百貨店は皆、売上不振に直面している。
原因は、人口減少、少子高齢化、EC、気候変動、消費者意識の変化など多くの要因を抱えるが、経営そのものがが売上高に依存する百貨店モデルは、一度、売上が落ち始めると固定費が重くのしかかる。
このビジネスモデルにも大きな課題があるだろう。
その中にあって浜松駅前にある遠鉄百貨店は静岡県内で最大規模の売り場面積を持ち、売上高も344億円(2017年度、HPより)と健闘している。
建物は本館と新館に分かれ、その間を幅18m、長さ22mの広場状の通路「イ・コ・イ スクエア」が貫通し、街の賑わいを作っている。
そのセンターには3階まで一気に登ることが出来るダイナミックなアプローチが設置されている。
本館の売場は、1階からコスメ、ラグジュアリー、上層階に行くに従い性別、年齢別のいわゆる百貨店然としたフロア構成となっている。
それと比較し、2011年に開業した新館は、セクトショップやライフスタイル型の店舗のブランドミックスとなっている。
そして、今、遠鉄百貨店は、市場環境の変化に対応するべく大きく変わろうとしている。
まず、その一段が2019年4月の無印良品に開業だ。
場所は、新館の4階のワンフロア。
面積は1,660㎡と大型。
これまでの百貨店の顧客に加え、新たに若年層を取り込み、家具やファニシングの拡充した。
アパレル偏重の百貨店のMD構成には大きく影響を与えるだろう。
でも、変化はこれで終わらない。
今秋には東急ハンズもオープンする。
そして、レストランフロアのリニューアルに合わせ、何と、炭焼きレストラン「さわやか」が出店する。
さわやかと言えば静岡県ではあまりに有名なレストラン。
げんこつハンバーグは絶品だ。
このさわやかは、1時間、2時間待たないと入れない超人気店。
これまでロードサイドを中心として出店だったので、車でないと行きにくいお店が多く、唯一、ビルインのお店は新静岡のセノバの1店舗だけだった。
それが、今回は浜松駅前に開業する。
これは相当のインパクトだろう。
百貨店業。
その行く末はまだまだ前途多難。
大手百貨店企業も試行錯誤と創意工夫の連続でこの状況を打破しようと今、取り組んでいる。
ここ遠鉄百貨店も市場の変化、消費者の変化に対応して変化し続けることになるだろう。
チャレンジと変化の繰り返し。
前例や定義や成功体験に拘ってはいられない。
これは流通企業においては当然。
浜松に来たら寄ってみてください、遠鉄百貨店。