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Vol.162 改正民法が及ぼす影響⑨(最終回)

これまで8回に渡り解説してきた「改正民法がショッピングセンター経営に及ぼす影響」、いかがでしたでしょうか。
これまで解説した改正点は以下の6つになります。

 1.個人の連帯保証契約(極度額)
 2.賃借人の修繕権
 3.敷金の定義と返還時期のルール化
 4.賃貸物件の所有権移転と賃貸人の地位の留保
 5.賃借物件の一部滅失による賃料減額(当然減額)
 6.賃借人の原状回復義務と通常損耗

今回の改正民法は建物賃貸借契約だけでなく、多くの契約行為に変化を求めています。
住居用の賃貸借物件などは消費者契約法との関係もありますので一般消費者向けの物件では事業用と違った観点も出てきます。
ご注意ください。

この民法、120年間大きな改正をしてこなかったと言うことはある意味、優れたものだったと言えるかもしれませんね。

今回の改正によって建物賃貸借契約に及ぼす影響はこれまでの判例法理を明文化したものが多いため実務上の変化はそれほど多くは無いと聞いていましたが、読めば読むほど契約書をしっかり作らないとあとあと面倒になるのでは?というものがたくさんあるように感じます。
むしろこれまでに民法がシンプルな条文だったのであまり綿密に考えなくても良かったところを今回は細部まで規定したため、予め契約書で細部まで確認しておく必要が出る、そんな印象です。

そもそも契約書を作る目的は2つと言われます。
一つ目は、「トラブルの防止」
契約がスタートしてからトラブルにならないよう予め当事者同士がしっかり確認し合うことを目的にします。

二つ目が、「トラブルの解決」です。
契約当初、いろいろ考えて契約したものの不幸にもトラブルになった場合、その処理方法を予め決めておくことでスムーズな解決を目指すものです。

この2つを満足するためには、当事者同士がしっかり話し合うことがまずは重要です。
そして契約書の条文は、誰が読んでも同じ解釈をするよう工夫しなければなりません。

建物賃貸借契約の場合、賃貸人側はどうしても都合の悪いものはあまり説明をしたがらないもの。
また、賃借人側は説明されたものを自分に都合のいいように解釈しがちです。

「言った、言わない」
「聞いてない」
「そんなつもりじゃなかった」

こんな不毛な議論にならないよう当事者間がしっかり話し合うことが大切です。
誰も揉めたくて揉めるわけでは無いはずですから。

このシリーズを書いてて、「弁護士でもないのに」とのご指摘もありました。
まったくその通りです。
でも、「法律×SC運営×テナントリーシング実務」として解説することに意義があると思い、複数のセミナーに参加し、条文を読み込み何とかポイント整理してきました。
ただ、この改正は未だ施行されておらず、当然に判例も出ていませんので、まだまだ解釈も変わることも多いと思います。
ご関係者の皆さま、注視していってください。

(最後に)
ショッピングセンター事業において建物賃貸借契約書を扱う方は、借地借家法と合わせ今回の改正民法を織り込んだ新たな契約書の作成に早めに着手されることを推奨します。
新たに付加された修繕権や通常損耗や賃料の当然減額や保証人の極度額などこれらは契約書条文に反映されなければならないと思います。

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員、渋谷109鹿児島など新規開発を担当。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。岡山理科大学非常勤講師、小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒、1961年生まれ。

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