SCアンドパートナーズ

Vol.145 敷金て何ですか?

「敷金」て何ですか?

建物賃貸借契約の研修を行う時、受講者にいじわるな質問をする。
すると「賃料などの不払いに対する担保」とか、「保証金」とか、中には「預かるものでしょ」とか、結構、あいまいに理解している人が多い。
それは「敷金」が法律に記載されていなくて、慣習として運用されていたからに他ならない。

ところが、今回の民法改正で「敷金」が登場する。

改正法第622条の2  敷金
(1) 賃貸人は、敷金(いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この7において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
ア 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
イ 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
(2) 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。
出典:民法(債権関係)の改正に関する要綱案

これが敷金の条項だ。

概ね、これまでの判例法理を明文化したものなので、実務上に大きな影響はないと考えられている。
でも、今回の大きなポイントは、
1.敷金を定義付けたこと。
2.敷金の担保範囲を明確化したこと。
3.敷金の返還時期を明確化したこと。
4.賃借権譲渡の場合の返還を明確化したこと。
5.賃貸人の充当関係を明らかにしたこと。
など、これまで判例で理解されていたことを見事に法文化されている。

むしろ、ここまで一般化している敷金が法律に無かったことが不思議なくらいだけど施行日の2020年4月1日まであと1年となった。

(この内容は、2019年4月17日開催の光風法律事務所松田弁護士のセミナーを参考にしています)

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

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