ショッピングセンターでは、クレジットカードの取り扱いを一手にまとめて出店するテナントに包括加盟を義務付ける。
これまで賃貸人賃借人双方にメリットがあったからだ。
テナントは、個別にカード会社と契約することは面倒だし、遠方の店舗の日々のオペレーションも出店先のSCの経理担当がケアしてくれる。
そして多少、料率が高くてもSCの独自ポイントの販促効果の恩恵も受けられた。
SC側も顧客に対して統一されたカード利用環境が提供できるし、手数料収入もあった。
これは、過去、SCが零細、生業、小さなテナントが集合した時代では必然だった。
でも、今はテナントのほとんどがナショナルチェーンだし、店舗も大型化したことから、独自でカードの取り扱いを進めている。独自のポイントも充実した。
店舗数が多くなれば料率の交渉も優位に進められるテナント企業も増えた。
SC側も手数料収入以上にクレジットカード等の扱いにものすごくコストが掛かっているのではないか。
CAT端末用の回線、サヤ菅工事、購入代金
CAT端末の維持、保守
クレジットカードの教育訓練
クレジット伝票のチェック
誤謬の訂正
売掛金の清算
顧客とのやりとり
これらにかかる人件費
この処理を行う部屋代
伝票の倉庫代と輸送費
毎日、膨大に上がってくるクレジット伝票と格闘し、手続きにミスがあれば店舗と顧客と連絡を取り訂正業務に追われる。
これを365日。
実は、こういったコストは手数料収入を上回っているのではないだろうか。
最近は、クレジットカード以外に電子マネー、○○payなど多くの決済手段が登場し、レジ台は端末だらけ。
そのたびにSCは設備更新と教育を追いかけていく。
ところが、近年、ネットを使った無線によって回線が不要になった。
4Gを使ってやりとり出来るポイントシステムさえある。
特にAir PAYの宣伝したいわけではないが、こういったサービスが充実してきた。
そして、驚くことに手数料率が公開されている。
このクレジット手数料率が白日の下にさらされるなど20年前では考えもしなかった。
非常にアングラなところで交渉されていたからだ。
SCであるためには「クレジットカードの包括加盟にならなければならない」という暗黙の理解の中で多くの設備投資と運営コストをかけていないか。
これって、「セール」と同じスパイラルに陥っているのではないか。
「セールは統一しなければならない」
(新年のセールなど実際は12月から個別に始まり、統一されていないのに未だ変わらずSCの告知は1月2日スタートとする)
「セールは盛り上げなければならない」
(残品処理のイベントを盛り上げようと告知や警備費用に多大なコストをかける。セールの売上増加に対する歩合賃料の上振れ分でこのコストがまかなわれているのか、赤字になってないか)
50年前に作られたこういった「ねばならない」がSC経営には実に多い。
今やテクノロジーの進化によって土台が変わっている。
顧客のため、と言ってやり続けている多くの事象。
SC経営を根本的に見直す時期にきていると思う。