SCアンドパートナーズ

Vol.109 東京マラソンも賛否両論

今日の東京マラソンは、あいにくの雨。
この大会は参加者がランニングウェアに着替えた状態で1時間、スタート場所で待機する。
薄着のままの待機は、ただでも体が冷えてしまうのに雨に打たれながらの1時間の待機は相当なダメージとなる。

私の知り合いも、雨だった時に参加し、疲労骨折に見舞われた。
もともとサブ3だった彼は最初からいつものペースで走ったことが冷え切った筋肉をいじめてしまったのではないかと。
出場者にはくれぐれも怪我の無いように楽しんでもらいたい。

意外かもしれないが、私も東京マラソンに参加したことがある。
写真はその時の完走メダル

もちろん、大切にしまってある。
一度、メルカリで売れるのか?と思い、見てみると結構出品されているもののその取引値段を見て、売らずに持っていようと思い未だ手元に置いてある。

今日、このアップを思い立ったのは、特に出場したことを自慢したくてのことではなく、昨日、東京マラソンに関するネットでの書き込みがあまりにネガティブな意見が多く考えさせられたからだ。

ネットへの書き込みの多くは、
「公共スペースである道路を長時間占有するのはおかしい」
「マラソンをしたいのであればもっと市民生活に影響の無いところでやるべきだ」
「東京マラソンは14時間という規制時間が長過ぎる」
「近隣に住む者として生活に支障をきたす」
「出場者や応援者のごみがひどくたまったものではない」
とそれぞれは納得できるもの。

マラソン愛好家にとっては耳の痛いことばかりだが、参加する者にとっては、
1.新宿、銀座、日本橋、浅草など普段走れない東京のど真ん中を走る爽快感。
2.2百万人の観客に応援される楽しさ。
3.多くのランナーが完走出来る長い走行可能時間(短い大会では足切りされる)
4.年に一度の祭典
など、確かに自分勝手と言えば自分勝手な話ではある。

京都マラソンに参加した時、四条などは走れず街の外周部を走るコースで「せっかくの京都マラソンなのに四条を走れないなんて」と思ったが、四条を交通止めにすることは難しかったのだろう。

上海マラソンでは、通行止めにしている警備員とそこを無理やり通ろうとする市民が小競り合いを起こしてたっけ。(さすが中国)

やはり、何かを行う時は、必ず、賛成反対、認否、協力非協力、理解の有無、好き嫌いの2者が発生する典型的なケースだろう。
でも、年に一度の国際都市東京の祭典。
理解されることを期待したい。

このマラソンというスポーツはやってみるとかなり奥が深い。
こういった大会に出ず、健康のためにランニングを楽しむことが長く続けることになる。
ただ、一度、大会に出るとその楽しさが忘れられず、何度も参加する。

私が、マラソンを通して学んだのは、タイムを伸ばすためには、「練習」「経験」「戦略」、この3つが大切だということだった。

「練習」
マラソンは、日頃の練習時間(走行距離)がタイムに直結する。
市民ランナーは、月間100時間から300時間、多い人で500時間以上。
サブ4を狙うためには200時間以上が必要だし、その上を狙うためには300時間以上が必要だろう。
もちろん、それほど走らずとも身体能力の高い方は可能だけど、当日、相当、辛い。
実は、この練習に一番苦労するのは、「時間を作ること」と「体調を保つこと」、この2つだ。
キロ6分で走れば10キロ1時間が必要であり、月間300キロを走るためには30時間を捻出しなければならない。
そして30時間を走る体調を維持しなければならない。
風邪をひいたり故障せずにとにかく体調を維持する。
この日頃の努力が圧倒的にものを言うスポーツである。

「経験」
とにかく大会に出ることが重要だ。
大会期日に向けて、体を作り、自分のペースを作る。
そして当日は、着替えから荷物の預けからスタートラインでのモチベーションの形成、そして、42キロのペース配分。
これは実際に大会に出ないと経験できない。
マラソンは、スタートダッシュやラストスパートが効かないスポーツ。
むしろ、スタートダッシュは命取りになる。
周りの早い選手に釣られ、スピードを上げてしまえば必ず途中で失速する。
周りに左右されずに自分のペースを守り抜く強さはレース経験が養うことになる。

「戦略」
マラソンレースでは戦略が大きくものを言う。
まず、出場権を得るためのエントリー。これがまずのハードル。
今はほとんどのレースは抽選やエントリー順。
希望ランナーが多くて簡単には出場権は得られない。
今年の東京マラソンは、抽選枠27,770人に対して331,211人の応募があった。
他の大会も高い倍率になるため、どのレースはどういったタイミングでエントリーするか、と言った情報が重要になる。

そして当日に向けての体調とモチベーション作り。
炭水化物を適度に取りながら糖質を体に貯めていく。
風邪をひいたら元も子もない。

走り始めてからのエネルギー補給も重要だ。
人間は2,000キロカロリーしか体に貯められないのにフルマラソンでは2,500~3,000キロカロリーを消耗する。
要するに途中ガス欠(古い言葉か)になる。

カロリーを使い切れば、低血糖になり、命の危険を感じた脳が全身に「止めろ!」という指令を出し、足が動かなくなる。
したがって、途中途中で走りながら不足するカロリーを摂取しなければならない。
でも、食べて直ぐカロリーに変わるわけでもなく、食べ過ぎてはお腹の負担になる。
だから、何をどのタイミングでどのように摂取すれば自分にとって適正なカロリー摂取になるのか、用意周到考えなければならない。

この「練習(準備)」「経験」「戦略」の重要さは、仕事にも通じる。

マラソンはとても奥が深いスポーツ。
そして、年を取っても自分のペースで長く続けられるスポーツでもある。
長寿の時代。
長く健康を保つためには自分のペースで続けることが大切だと思う。

最後に格言(自分で考えた)

「フルマラソンは、フルマラソンに出た人しか語れない」
42.195KM、そこまでの道のりと完走までの時間。
これは経験した人にしか分からない。
仕事も同じ。経験することが強さを生む。

「フルマラソンを完走することは難しくない、練習時間を作る努力と続ける気力、これしかない」
故障せずにコツコツ練習すればフルマラソンは誰でも完走できる。
そこに至るまでが大変なのだ。
これも仕事と同じ。計画と準備と実行、まさにPDCA。

東京マラソン、いろいろなご意見もあることを承知で、参加する方も誰かの犠牲の上で成り立っていることを忘れずに国際都市東京の明日に向かってスタート!

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

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