ショッピングセンターの新規企画やリニューアル計画を策定する際、ターゲットを設定する。
何故なら市場すべては均質ではなく、多様な集団の集まりであり、そのすべてを対象に商売をすることがあまりに非効率であるためこのターゲット設定の行動が必要となる。
これはマーケティング理論でいうところの市場の細分化(セグメンテーション)とターゲット市場の決定プロセスに該当する。
ショッピングセンターの企画段階でもいろいろなターゲット設定が行われるが、その方法は市場のセグメントのアプローチによって変わる。
地域、年齢、性別、職業、ライフステージなどのジオグラフィックやデモグラフィック。
はなこ世代、ゆとり世代、ミレニアム世代など生まれてから育った環境から作られる価値観などによるサイコグラフィックやベネフィット。
市場調査から識別するクラスター分析による小集団など。
この他にまだまだアプローチはたくさんあるが、常に注意する大切なポイントがある。
それが「SCターゲットの4大原則」だ。
1.測定可能性とは、「数えられるのか?」
決めたターゲットは何人いるのか?を知ることが出来るのか、ということだ。
2.維持可能性とは、「予算を達成するだけの十分なボリュームがあるのか?」
仮に年間200億円の売上が目標であるならばその200億円を達成するだけのターゲットボリュームはあるのか、ということだ。
3.到達可能性とは、「ターゲットに情報を届けられるのか?」
簡単に言うと決めたターゲットにDM(ダイレクトメール)は届けられるのか、ということだ。
4.実行可能性とは、「ターゲットが満足する対応が行えるのか?」
仮にターゲットをプレシニアとした時、そのターゲットが満足するような商品、サービスが提供出来るか、ということだ。
よくSCの企画書で「好感度の人」「エネルギッシュな人」「こだわりのある人」「上質な生活を志向する人」
こういったターゲット設定をよく見る。確かに感性は分かる。
でも、
・高感度な人は商圏に何人いるのか
・エネルギッシュな人で目標予算は達成出来るのか
・こだわりのある人にイベントの案内をどうやって届けるのか
・上質な生活を志向する人にふさわしいサービスは提供出来るのか。
冷静に考えて欲しい。
仮に「20代女性」をターゲットとしたとしよう。
日本の20代女性が占める割合は、わずか6%だ。
この6%をターゲットにした時、SCの目標売上高が達成できれば問題は無い。
しかし市場の74%を捨てて予算が達成できる場所など日本にどれほど存在するのか。
ところが、これに加えて「感度の高い」20代女性というのも散見する。
もうここまで来ると、まず、売上が達成出来ないどころか館内は閑散とする。
いわゆる「滑る」という現象だ。
ターゲットを設定する時、この4つの視点は必ず取り入れてほしい。
これはSCに限らず、どのビジネスにも共通するものだから。