SCアンドパートナーズ

Vol.100 注目すべきは出生数

前回、人口の減少より「人口の構造」が変わることがSCや商業施設に与える影響が大きいと指摘した。
SC元年と呼ばれた2000年は、団塊世代と団塊ジュニア世代という2つの塊が存在したことによってショッピングセンターの追い風となっていた。
それが徐々に崩れ、今やショッピングセンターのターゲットが大きく減少する時代となった。

1989年(平成元年)、合計特殊出生率が1.57になったことが発表され、1.57ショックと呼ばれた。
この1.57ショックは、現在の事態が訪れることを30年前に予測させたわけだが2000年以降もSCの開発は続く。
この特殊合計特殊出生率は2.0を超えないと人口は減少に向かうのだが、不思議なことに2000年は出生数が1,190,547人、死亡者数が961,653人と人口は未だ増加していた。
しかし、2005年にこの数値が逆転し、人口減少時代に突入する。
私は、この合計特殊出生率よりも出生者数の絶対人数に着目している。
下図は、1970年からの出生数の推移を表したグラフだが、2017年はとうとう100万人どころか946.095人まで低下してしまった。

これが前回指摘した若年層の減少をもたらす大きな原因となっている。
この出生数が減少し続けているからこそ、これまでSCや商業施設がターゲットにしていた世代の大きな減少をもたらしているのだ。
下に向かって尻つぼみになる人口ピラミッドの原因なのだ。

2017年は、1,340,397人の死亡者だったから差し引き、-394,332人の人口減少となった。
40万人と言えば、長野市や富山市に匹敵する。
このままでは毎年、この規模の市町村が日本から消えていくこととなるのだ。
【人口の減少 × 合計特殊出生率の低下 = 若年層の減少】
減少する2つの変数を乗じれば一層の下落が起こるのは当たり前な話である。

残念ながらどんなに頑張っても過去の人口を増やすことは不可能である。
唯一の方法は移民を受け入れることだがこれは相当にハードルが高い。
(これは必ず取り組まなければいけない課題ではある)

我々一事業者が出来ることは限られている。
それは何か。
それが前回指摘した「このピラミッドを前提にものごとを考えていかなければならない」ということになる。
今、温暖化が進む日本で「今年は暖冬でコートが売れない」と言い続けないことと同じである。
変化対応業であることを肝に銘じて。

※「団塊の世代」の名付け親である堺屋太一さんが8日、お亡くなりになったそうです。
行政官として、政治家として、作家として、本当に多彩な才能をお持ちの方でした。
ご冥福をお祈りします。

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員、渋谷109鹿児島など新規開発を担当。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。岡山理科大学非常勤講師、小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒、1961年生まれ。

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