SCアンドパートナーズ

VOL.1050 「データで見る工事費の高騰」

最近、工事費の高騰による新設着工の遅れや計画内容の見直しなどの報道が多いので、どれほどの高騰なのだろうと、国交省建築着工統計調査から商業店舗に関係する数字を抽出してグラフ化

商業店舗の多くは、鉄骨造で作られることが多いので、この10年間の坪単価の推移を計算すると以下の通り。

数字を単純に割り算して算定しているので、必ずしも正確ではないが、2014年が58万円、2024年が102万円、その差1.7倍

2024年の構造別では、鉄骨鉄筋コンクリート造が188万円、鉄筋コンクリート造が122万円、鉄骨造が102万円

これを店舗に限ると、下記のような数字になる。

90年代、郊外にモールを作る時は30万円/坪を下回る数字を聞いていたが、それの3倍以上

伝聞ベースの数字は、もっと大きいが。

では、テナント賃料が3倍以上になっているかと言えば、少子高齢化、人口減少により、そう簡単ではない。

深刻なのは、この工事単価では、商業テナントの賃料による回収はかなり難しい。

それが影響してか、ショッピングセンターの平均面積も縮小傾向

ここ数年、ショッピングセンター業界では、人出不足による経営の圧迫を懸念していた。

しかし、今度は、それに工事費の高騰が重く圧し掛かってきた感じだ。

エネルギー費の高騰や物価高も相まって、これまでのような利益を出せなくなる可能性もあり、出店するテナント側も徐々に出店場所が減少することを念頭に活動することになるだろう。

※数値データは以下から抽出していますが、工事費は個別要件が多いので、上記の数字の取り扱いには注意してください。

https://www.e-stat.go.jp/statistics/00600120

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

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