2024年12月25日、日本SC協会主催の恒例「冬季定例記者懇談会」が開催され、2024年の年間SC概況(速報)が発表されました。
ここでは、2024年に開業したSC数は36か所、閉鎖等SCが38か所、差し引き2か所の減少となり、日本のSC総数は「3,090か所」となったと発表されました。
これを受け、2024年5月に発表されたSC白書に数字等をアタッチしたものを下記の通り、作成しました。
2024年の開業数は36か所、閉鎖等で38か所
閉鎖の理由は、ここにあるように老朽化や市場の変化による建て替えや商業用途から他の不動産用途への転換が主な理由ですが、高度成長期に建築された建物が今50年前後となり、建て替え期になっているように感じています。
実際、札幌、東京、名古屋、大阪、博多などの都市圏では建て替え工事が進んでいますね。
ということで、残念ながらSC総数は減少
この減少は6年連続
1991年にピークアウトした百貨店の当時の状況と似ているようにも感じます。
地域別には、ほとんどが大都市圏
不動産ビジネスであるショッピングセンターは、投資利回りを考えると必然ということでしょうか。
今回、指摘できる1つは、大型SCが無くなったこと。
下記グラフにあった5万㎡以上は2024年は0となりました。
この状況は、平均面積の減少に大きく影響しています。
記者懇談会では「小型SCの増加」を指摘していますが、その他、前述の通り、大型SC(モール)開発が無くなったこと、それからオフィスやホテルなどの不動産用途が優先され、複合開発において商業床のプレゼンスの低下も指摘できるでしょう。
もう一つ指摘できる大きなポイントは、テナントの店舗数の業種構成比です。
ここ数年、物販、特に衣料品のシェア低下が目立っていますが、2024年は10.3%まで低下しました。
一方、飲食が増加し、食物販と合わせると40.7%
ショッピングセンター内を見ると「衣食住」から「食住衣」の順番に変わっています。
やはり高齢化の影響が大きいでしょう。
注意点は、このデータは、店舗数で集計していますので、最近のアパレル店の大型化による店舗数の減少も指摘できます。
ここまで見てきた数値は、下記の定義と取り扱い基準を元に集計されています。
取り扱い基準は、集計する基準ですが、来年、見直しが予定されています。
下記は、現在の取り扱い基準と改定案を対比表にしたものです。
この改定は、近年のショッピングセンターの構造や開業後の運営管理の方法が変わったことを反映しています。
例えば、「テナント会」が削除されているのは、近年、SCではテナント会が組織されなかったり、組織されても過去のように共同催事の実行主体とならなかったり、そのトレンドを反映しています。
今回の改定で影響で大きいのは、基準が1,500㎡→1,000㎡とバーが下がることでSCにカウントされる施設が出てくることです。
今回の記者懇談会では、その影響は4カ所の増加としています。
ここまで2024年の数値を見てきましたが、驚くのは、来年2025年の開業予定のSC数が16か所と予想されていることです。
この数字は統計を取り始めて以来の数字
コロナ禍による計画のとん挫や工事費高騰による計画の見直し、建て替え時期の端境期などの要因と思われますが、2025年は、ショッピングセンタービジネスにとっては大きなターニングポイントになる年でしょう。