これからのショッピングセンターは、売上の上がらない店舗が増える。
「売上の上がらない」という意味は、次の2つ。
1つ目は、これまでのように坪効率を求めるような運営は限界が来る。
それはアパレルが昔のように売れなくなり、その代わりにサービス店舗やショールーミング化が進み自ずと店舗での売上は減少する。
この流れには抗いように無い。
もう一つは、そもそも売上が無い店舗がショッピングセンターには増える。
例えば、保険相談、医療モール、行政施設など、市民の生活を支える機能を増やすことは、もうすでに始まっている。
売上が上がらなければ歩合賃料は望めない。
では、賃料が望めなくなった場合、ショッピングセンターの収益はどこでカバーするのか。
その一つの解が、この「LCX」にあるのでは?とかねがね思っていた。
LCXは、香港尖沙咀ののハーバーシティ内にあるポップアップ店舗の並ぶエリア。
場所はオーシャンターミナルの3階。
以前は、距離が長く、奥まった場所で、人の流れが今一つだったエリア。
これをポップアップ店舗の集積として生まれ変わらせた。
とにかく、若者をターゲットにポップアップ店舗が並ぶ。
コスメ、雑貨、アクセサリーなどなど。
歩いていて楽しい。
そして、ここの作りがユニークなのは、ポップアップ店舗の両側には、パーマネントの店舗が並ぶ。
通路の中央にポップアップ店舗が連続し、その両側を固定店舗が挟む。
そのコントラストがまた楽しい。
これまで催事契約や一時使用契約として、継続的契約が決まらない区画の暫定的処置として催事テナントやイベント催事を行ってきた。
しかし、これから売上が見込めない中で、ショッピングセンターは収益源を賃料だけに頼っていては、今の地価の上昇と建設費の高騰をカバーするのは難しい。
ショッピングセンターの経営資源は、不動産と顧客である。
この経営資源からどうやってリターンを生み出すか。
ここにこれからのSC経営のキーがあるように感じている。
ハーバーシティの管理者は、販促などは行わない。
(販促や営業指導を行っているのは日本独特の文化)
その代わり、こういった集客手段と不動産収入に直結する取り組みに熱心だ。
これからの日本のSCデベロッパーも、接客や営業指導やロープレに拘泥されることなく、収益源を見つけていくことを今すぐ実施しなければならない時期に来ているのではないだろうか。