SCアンドパートナーズ

Vol.67 本社と現場の役割分担

ショッピングセンター経営におけるオンサイト(現地運営事務所)と本社との業務分担、役割分担について、必ずと言っていいほどセミナーでは質問される。

特にテナントリーシング業務とリニューアル業務

どちらがやるべきですか?と。

現場で無ければ出来ない「店舗とのコミュニケーション」や「日々のお客様対応」などは悩む範囲ではないけど、この2つは業務負荷も大きいから現場からは本社からのバックアップや支援や役割分担を求める声も多い。

最近は、SCを多店舗展開するSCデベロッパーも増えてきたため本社で一括してセンターコントロールを行う企業も増加してきている。

かなり強度なセンターコントロールを行う企業では、フロアガイドやポスター制作などのプロモーション業務、会計日報の一括処理、ミステリーショッパーやロープレなどのスタッフ研修などあらゆる業務をセンター処理で行っている。

その目的は、
1.業務集約による効率化
2.業務集約によりコスト低減
3.集中化によるノウハウの蓄積
4.SCブランドの統括的コントロール
5.子会社業務の拡大
など多岐に渡る。

マネジメントするSCが10か所を超えるとさすがにテナントリーシングを個別に行うことも効率は低下するし、テナント企業側も同じ企業の人がSCごとにバラバラ来られても困る。

集約する必要性は高くなる。

時々、テナントの展示会で同じ会社の人がたくさん参加している光景はやはりいただけない。

と、ここまで書くと私はセンターコントロール推進者と思われかもしれないが、実は、私は「現場重視派」

なぜなら。

現場のことを一番分かっているのは現場だし、顧客に近いのは現場。

だから、そのSCのため、顧客のために何をすればいいのか、それを真剣に考えなればならないのは、紛れもない現場だし、現場だから正しい解が出せると思っている。

しかし、経営効率を考えれば、センターコントロール型、本部集約型にならざるをを得ないのも事実。

自己矛盾を起こしてきたがこれが素直な考え方である。

ただ、現場で考えているとどうしても目の前の改善だけに陥り、イノベーションが起こりにくかったり、各SCの個別最適に走り、企業としての全体最適を棄損してしまうこともある。

これを解決する方法は、業務量に応じた業務分担とキャリアパスだと思っている。

「業務量に応じた」とは、それぞれの職場の持つミッションに見合う経営資源の配分と、それらを定期的に経験する人事異動が重要になってくる。

テナントリーシングに優れていても経営管理に優れているとは限らない。
一般管理の能吏も、現場で顧客対応が出来るとは限らない。

それぞれの人の適正は経験しなければ分からないし、自らも経験してみないと分からない。

現場の人が本社に不満を持つことが多いのは、本社の立場が分からないことも多い。

両方の立場を経験してこそ、その最適解が見いだせるように思う。

この業務分担について質問された時、必ず、伝えることがある。

それは、「仕事はやった者勝ちです」と。

業務負担が重く、不満も出がちだが、仕事は経験した者が強い。
経験した業務は怖くないけど、経験したことが無い業務は腰が引ける。

「腰が引ける」業務をいかに減らすか、とても大切だと思うから。

ちょっと、働き方改革からは離れているけど、多くの経験を出来る時にする、それに尽きると思っている。

SCの本社と現場の役割分担。
企業風土や歴史にも依存する。
トライ&エラーの連続であることは間違いない。

この記事を共有する

CONTACT USお問い合わせ

これまで問い合わせ用メールアドレスをこちらに記載していたのですが、最近、営業メールの数が看過できないほど増えてきており、大変心苦しいのですが一旦閉じさせて頂きたくことになりました。
事情ご賢察の上、ご理解くださいませ。

株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

Facebook:西山貴仁 -SC & パートナーズ-