商業施設を造るとき、最大のテーマは人が歩く通路幅。
やたら広くても間延びするし、店舗のファサードは遠くなる。
逆に狭いと歩きにくいし、ベビーカーはすれ違えないし、流動阻害になる。
そんなことを考えつつ、どこかで折り合う。
でも、ヨーロッパの街並みを見ていると、それらをどう組み合わせるか。
1.店舗(建物)と通路をどう一体化させるか。
2.店舗ファサードが通路にどうにじみだせるか
3.歩く楽しみをどう造るか。
4.次の期待感をどう造るか。
これらの命題を解決するヒントがこの街並みに隠されている気がします。
典型的なのはこのような通路(マドリード)
狭い通路と、それに比べて高い建物。
イーサン・ハントがカーチェイスをしそうな道路ですが、日本では、このバランスで造ると何故か圧迫感が出る。
アジア特有の看板やサインなどゴチャゴチャ掲示するせいでしょうか。
明らかに縦横費のバランスは悪いけど成り立っている。
それから典型的なのは、このパターン。
一旦、閉鎖的な空間を作り、歩いて行くと広場が広がる。
くぐった先にバーンと広がる大空間(写真は、マヨール広場)
この緩急は素晴らしい。
香港のK11MUSEAでこの手法が取り入れられていますね。
クリスマスツリーの設置場所は広場の真ん中。(プエルタ デル ソル)
そうすれば人は自ずと中心に向かう。
こういったテラス席によって道路と建物が一体化する。
「何かあったらどうするんだ!」という精神構造の日本人は、なかなか難しい。
この細い階段を上ると広場につながる。(日本ではバリアフリーで無い!と怒られそうだが)
(写真は、世界遺産の街クエンカ)
階段を降りると眺望が広がる。
(魔法にかけられた街クエンカ)
イクスピアリがこの手法に近い気がします。
今、日本では、アメリカをスタートにしたモール文化がスタンダード。
その均質化したモール環境が全国に造られた30年。
販促し、売ることを考え、いかに人(来店者)を歩かせるか、店舗ファサードを目立たせるか、ひいては賃料をいかに上げるか。
それ1点に収斂してきたように思う。
でも、これからの高齢化の社会にあって、大規模で画一化されたモール環境ではなく、滞在する場所として、日常と非日常感の間を味わう空間設計が成熟社会では求められる。
そんなことを感じています。