SCアンドパートナーズ

VOL.1044 「2023年10月、業態別売上高」

2023年10月の業態別売上高前年比は、

SC  +6.1%

百貨店 +5.0%

チェーンストア +3.3%

全ての業態でプラスに。

加えて、SCが2019年同月比 +8.7%(SC協会発表)、百貨店が2019年比+19.9%(百貨店協会発表)とコロナ前を超えた。

この要因として、消費増税による買い控えの影響も指摘できるが、順調に復調しているように見える。

百貨店のインバウンド需要は、調査を始めた2014年以来、最高額となっており、これは円安効果も大きいと予想される。

気になるのは、SC、百貨店とも、大都市圏とそれ以外に差が出ていること。

人口減少、少子高齢化の波がじわじわと地方から始まっているようにも感じる。

これらをグラフ化してものと各業界団体からの発表は以下の通り。


下図は日本SC協会から発表されている単月売上を使用し独自に作成しているため、SC協会発表の数値(+8.7%)とは差が生じています

【SC協会】

・既存SC前年同月比売上高伸長率 :+5.0% (参考・2019年同月比 :+8.7%)

・気温が下がらなかったことにより秋冬衣料が苦戦するも、外出需要の高まりや販促キャンペーンにより前年を上回る

・10月度の既存SC売上高の前年同月比伸長率は、総合で+5.0%となった。

・9月に続き気温が高かったことにより秋冬衣料の動きが鈍かったSCが多かったが、国内旅行客やインバウンド客の来館、館周辺でのイベント開催、ポイント施策などの販促キャンペーンが売上げにつながり、前年超えとなった。

・立地別にみると、中心地域は総合で+7.1%、周辺地域は+4.0%となった。国内外の旅行客などの来館により、とくに中心地域の大都市が好調だった。

・業種別にみると、「ファッション」は気温が高かったことにより秋冬商材、とくにアウターなどの重衣料が不調だった。

・「雑貨」はキャラクター商材や均一ショップが好調だった。

・「飲食」は旅行客や近隣イベント参加客の利用が多かった。

・大都市を中心にランチだけでなくディナータイムも復調しているとの声がきかれた。

・2019年10月は消費税増税による買い控えで売上げが落ち込んだため、2019年比は総合で+8.7%となった。

【百貨店協会】

1.売上高総額 4,531億円余

2.前年同月比(増減率)6.1%(店舗数調整後/20か月連続プラス)

3.調査対象百貨店 72社 180店 (2023年9月対比±0店)

4.総店舗面積 4,675,971㎡ (前年同月比:-3.4%)

5.総従業員数 51,005人 (前年同月比:-6.7%)

6.3か月移動平均値 3-5 月 8.3%、4-6 月 7.3%、5-7 月 7.4%、(店舗数調整後) 6-8 月 9.0%、7-9 月 9.8%、8-10 月 8.8%

【特 徴】

・10月の売上高は6.1%増、入店客数2.6%増と、共に20か月連続のプラスとなった。

・気温が高く推移したことで、秋冬物や防寒商材の動きは鈍かったものの、高付加価値商品の増勢やインバウンドの活況が売上全体を押し上げた。

・各社が企画した物産展などの食品催事やイベントも奏功した。

・コロナ前の2019年比では消費増税の反動から19.9%増と二桁伸びを示した他、特殊要因のない2018年比でも同水準を維持しており、回復基調は鮮明となっている。

・顧客別では、インバウンドが、円安効果に加え、国慶節・中秋節休暇等による客数増もあり178.9%増(19か月連続/シェア8.5%)の383億円と、2014年10月の調査開始以来、最高額(2019年4月の344億円)を更新した。

・2019年比では前月より20.4%アップの49.7%増と、4か月連続でコロナ前の実績を上回っている。

・国内市場は0.4%増(20か月連続/シェア91.5%)とプラスを維持している。

・地区別では、都市(10都市/25か月連続)が、インバウンドと増勢が続く高額商材などから、8地区で前年実績をクリアし、合計9.1%増と好調に推移した。

・地方(10都市以外の7地区/2.5%減)は5地区で前年割れとなり、4か月ぶりにマイナスに転じた。

・商品別では、主要5品目のうち4品目で前年実績を超え、この内、身のまわり品と雑貨は、コロナ前(2018年)の水準も上回った。

・ラグジュアリーブランドのバッグや時計、宝飾品など高額商材や化粧品は、引き続き国内外共に好調に推移している。

・主力の衣料品は、天候与件からコートが苦戦したものの、ジャケットや、カットソーなど軽衣料は好調だった。

・食料品は、惣菜が僅かに前年割れしたが、ギフトや手土産需要などから好調な和洋菓子が牽引し、再びプラス転換した。

・年末年始の需要に向けて、おせちやクリスマスケーキの予約がスタートしたが、滑り出しは堅調に推移している。

【チェーンストア協会】

取扱部門 構成比(%) 販売金額(万円) 前年同月比(%) 前月比(%)
店舗調整前 店舗調整後
総販売額 100.0 113,902,067 103.3 103.3 106.4
※会員企業数 54社 / 店舗数 10,813店
※総販売額 1兆1,390億円   (店舗調整前) 103.3% (店舗調整後) 103.3%
<部門別の概況>
・食料品 8,058億円   (店舗調整前) 105.2% (店舗調整後) 105.2%
・衣料品 627億円   (店舗調整前) 94.2% (店舗調整後) 94.1%
・住関品 2,099億円   (店舗調整前) 102.5% (店舗調整後) 103.0%
・サービス 24億円   (店舗調整前) 102.7% (店舗調整後) 102.5%
・その他 580億円   (店舗調整前) 92.2% (店舗調整後) 91.4%

・令和5年10月度は、食料品は節約志向は変わらず買い控えが続いているが、農産品が相場高の影響もあり好調に推移し、食料品全体では店頭価格の上昇もあり売上は好調だった。

・衣料品は高気温の影響から秋・冬物商品の動きが鈍かったが、住関品はまずまずの動きだったこともあり、総販売額の前年同月比(店舗調整後)はプラスとなった。

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これまで問い合わせ用メールアドレスをこちらに記載していたのですが、最近、営業メールの数が看過できないほど増えてきており、大変心苦しいのですが一旦閉じさせて頂きたくことになりました。
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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

Facebook:西山貴仁 -SC & パートナーズ-