今回のDCSオンラインに寄稿したは「単館SC」について、少し補足したい。
単館SCは、多くのSCを経営する企業グループに対して、どうしても経営資源で劣る。
でも、そんなことをモノともせず、前を向いて進む単館SCは多い。
ここで主張したかったことは、
1 「うちは単館SCだから。。」と考えず、強みが何かを見つけ、そこに集中することで突破口がある、不満を言っていては何も始まらない、実際に前に進み続ける単館SCは多い。実はこの寄稿の真の目的は、単館SCへの叱咤激励。どこにも必ず強みはある。前に進もう。
2 「SCには愛が大事」の意味をもう少し説明する。2000年、資産流動化法が改正され日本の不動産市場は大きく変わった。商業施設も例外では無く、流動化、証券化、小口化、外資、そして、転売が繰り返されたSCも現れた。そこには配当や利回りを当てにした投資家が参入する。でも、これは経済合理性から当然のこと、何も責められる話しではない。むしろ、流動化は経営の透明性を高め、REITのように上場すれば情報公開は詳細に求められる。これに対しても何も異論はない。では、その結果、何は起こったか。そこでは、空室が発生し、衰退し、閉鎖に追い込まれたSCは一つや二つじゃない。所有者が次々に変わるSCに出店したいテナントはいるのだろうか。不安しかない。SCをビジネスパートナーとして信頼できなければ多額の内装投資など怖くて出来ない。テレビCMの言葉を借りれば「そこに愛はあるんか」である。
3 誰のために働くのか。SCに従事するスタッフは、投資家のために働いているのか。SCに働く人は、「お客様のため」「SCの成長のため」「SCの成長は自分の成長」そんなことを考えている。もちろん、企業であれば株主に結果的には還元されるから流動化も同じではないか、と反論が来そうだが、働いている人たちはもっと目の前にいるお客様の笑顔を大切にしている。
4 では、多くのSCを経営する企業は駄目なのか。そんなことも言ってはいない。SCを好きになり愛していれば、自ずとアイディアも浮かぶし、その実践に寝食を忘れて頑張る。これが「やらされ仕事」では、アイディアも浮かばず、時間を消費するだけだ。むしろ、大手デべやPM会社は、経営資源が豊富な分、強いはずだ。人材も仲間も多いはず。会社の不平不満を言っていても始まらない。前を向き、業界を先導し、SCを進化させていく責任と気概を持ちたい。
今回は、「単館SC vs 大手」のような単純な2項対立で考えず、SCの顧客価値を考える。
そんな思いで書きました。↓
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