SCアンドパートナーズ

新業態がうまくいかない10の理由

商業施設の開業リリースのテナントリストの横には、「新業態」とわざわざ載せる。
他と差別化したいからと新しいことにチャレンジする。
チャレンジは良いことだからどんどんやった方がいいし、やらないとイノベーションも起こらない。

でも、その新業態、うまくいくことは少ない。
何故か。

それは、
1.顧客は新業態なんて望んでいないから。
望んでるのは差別化したいと考える事業者の論理。

2.新業態と言いながら新業態になってないから。
洋服に雑貨入れて新業態じゃ、顧客から見て何も変わらない。

3.作る側の思い込みで作っているから。
売りたいもの、売れると思うものを並べても売れるわけはない。

4.既存の延長線上で考えているから。
仕入先、オペレーション、売り方、FCなどの運営形態、これを変えずして何も変わらない。

5.定期借家制度になってしまったから。
今は決められた期間に答えを出さないといけないから結局、目の前の売れ線に走らざるを得ない、顧客づくりも限界がある。3年で顧客なんて作れない。

6.新しい価値が提案されていないから。
新業態とは品揃えを変えることや店装を変えることでは無く、顧客に新しい価値観や生活スタイルを提案すること。

7.勝手なターゲットに絞っているから。
もう日本人の半分が50歳以上になる時代。いつまでもこれまでのターゲットに固執出来ない。

8.考えるスピードが早すぎるから。
結果を求めるスピードが早すぎる。新業態を定番化するには今の商業施設のサイクルでは難しい。新しいオペレーションを考える間もなく答えを出さないといけない。

9.奇をてらったものが多すぎるから。
新業態を作ることが目的化してニッチ市場にはまり込むことが多い。

10.新業態、半年経てば旧業態!
いつまでも新業態の効果は続かない。マーケットに入り込むことを考え続けないとならない。

顧客は、自分の「欲しいもの」を「リーズナブル」に「便利」に「快適」に買いたいだけ。
新業態が嬉しいわけではない。

商業施設を作る側の論理で、リリースに何店舗が新業態かを書き込みたい気持ちも分かる。
でも、無理な店づくりは結局、誰のためにもならない。
新業態と言ってスタートしても評価は顧客がするもの。
その評価に愚直に答えていけば新業態は自然と作られていくのではないだろうか、と思う。

地域に根ざした元町や青山にあるスーパーマーケットは地域の人が望むものを揃えてるうちに自然と出来上がったもの。
それを大手資本が無理やり高級スーパーを作ろうとするからうまくいかない。

路面に面白いものが出来る理由はここにある。

新業態を作り育てるためには、もっと商業施設やショッピングセンター側が契約期間も場所も条件もあらゆるバックアップをしないと、と思う。

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これまで問い合わせ用メールアドレスをこちらに記載していたのですが、最近、営業メールの数が看過できないほど増えてきており、大変心苦しいのですが一旦閉じさせて頂きたくことになりました。
事情ご賢察の上、ご理解くださいませ。

株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

Facebook:西山貴仁 -SC & パートナーズ-