SCアンドパートナーズ

VOL.828 「固定賃料化の誤謬」

かねてよりショッピングセンターのテナント賃料は固定賃料が増えてくると思っている。

それは、サービス系テナントなど固定賃料に適した業種が増加したこと、D2Cのような売上が無い店舗が増えていくこと、そして、そもそも2000年に登場した定期借家契約はそれまでの普通借家契約とは異なり、一定の期間を決めてビジネスを行うことを求めている。

そんなことから固定賃料が増えることを指摘したわけだが、最近のコロナ禍もあって、こんな意見が多い。

「そんなことはない、今、売上が見えないから歩合賃料が増加している」と。

ここに2つの誤謬がある。

まず1つ目

見ている時間の相違だ。

確かに今の段階ではそう言うこともある。

しかし、もっと長いスパンで考えたら、もしくは過去からの経緯を見ても固定賃料が進むことは無いだろうか。

そして、もう一つ。

これまでの経験を下に「このテナントでなければいけない」という固定概念が無いだろうか。

1階にはセレクトショップの〇〇〇が無ければいけない、となれば当然に賃料交渉はそちらに引っ張られる。

出店する側も同様にいくつかの固定概念(既成概念)で出店場所を決めていないだろうか。

時間の誤謬、認識の誤謬、この2つを外すことからWithコロナを始めないといけない。

一つ付け加えると「西山さんは固定賃料にしろ、と言っていますよね」と時々言われることがある。

私はそんなことは言ってはいない。

あくまで環境変化からそうなるだろうという予測をしているに過ぎない。

私とて、これまでのことをやり続ける方が楽だし、それに越したことは無い。

歩合賃料で販促や運営を担当している方がそれは楽しい。

でも、人口減少、少子高齢化、ECの伸長の中、これまでと同じことを繰り返していくことは出来ないことは自明。

その上でどうするか。

その一つが固定賃料が増えた時の運営管理業務の修正だと思っている。

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

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