今日は、連載45回の補足を兼ねて、「SC事業者は、ECを競合と見るのはやめよう」「O2OやOMOは誤解」をテーマにしたい。
今、流行りDXだが、この「X」はトランスフォーメーションのこと。
「変革、変化」を表す。
だからDXとは、デジタルで「新しいサービスや新しいビジネスを生み出し、新たな生活様式や価値観を作り、市民生活を便利なものにし、社会を豊かにしよう」というもの。
例えば、ウーバー(Uber)
残念ながら日本では既得権益が強いせいなのか、法の規制なのか理由は分からないが、タクシーに代わるウーバー(Uber)は無く、出前(配達)機能としてのウーバーイーツしか展開されていない。
でも、諸外国では、ウーバー(Uber)やグラブ(Grab)が当たり前。
これまで乗用車を職業として運転手さんが運行していた業務をテクノロジーを使うことで、依頼、配車、乗車、輸送、課金、評価まですべて自動化し、一般のドライバーによる運行を可能にした。
乗車の段階で、配車されてきたドライバーは、行き先も分かっているし、降車の際も支払いは不要。
利用後は、乗客はドライバーを評価し、ドライバーも乗客を評価する。
DXによってタクシーに代わるサービスを作り、市民生活に利便性をもたらした。
その他、楽天銀行と楽天証券
これまで銀行のATMに行かなければできなかったことをスマホの操作で可能にした。
株式など証券取引も自分の銀行口座とブリッジした証券口座があればお金を簡単に移動できる。
それも24時間。
15時に店舗が閉まったりしない。(そもそも店舗が無い)
この他にもDX事例は今や我々の生活の中に入り込んでいる。
では、ショッピングセンターのDXとは何か。
残念ながらDXと言いながら単にデジタル化を行っているのが現状だ。
業務内容は変えずに、一部を機械化するデジタル化。
DXでは無い。
ここで誤解しないで欲しいのは、デジタル化がいけないと言っているのでは無い。
デジタル化は、効率化、省人化、標準化が進み、人間による不均質さを排除し、ヒューマンエラーを無くし、顧客にとっても事業者にとっても望ましい面は大きい。
でも、それはDXでは無いことを理解しておきたい。
最近、このDXという言葉を営業トークに色々売り込まれることも多いと思うが、ここをしっかりと区別、認識しておくことが事業者の知恵となる。
では、SCのDXとは何か。
それが連載45回で指摘した「EC」
これまで不動産を利用した賃貸物件で小売機能を提供してきたSC
それをテクノロジーによって不動産の代わりにインターネット上に店舗を並べ、商品を並べ、販売を可能にしたものがEC。
〇〇丁目〇番〇号という住所は、www//というURLに置き換わった。
有限の不動産から無限のネットに置き換えることに成功した。
ところが、「ECに客を取られた」「ECに売り上げが移った」とOtoOやオムニチャンネルやOMOなどECに移った消費者を何とか呼び戻そうとするこの10年。
でも、お客は戻ってこない。
そもそも、こういうことを言うのは、リアル側の世界の人に多い。
ネットを主戦場にしていれば、新しいサービスや効果的なアルゴリズムの方に興味は行く。
O to O (Online to Offline)やオムニチャンネルやOMOなどはリアル側からの発想の色が濃い。
いつの時代もお客は自分にとって便利で快適な方を選択するもの。
では、DXされてしまったSCの将来は?
それをDCSオンラインの連載では書いている。
ECに移ったお客を同じ機能のまま呼び戻そうとするのは、川を逆流させることと同じ。
川を逆流させることなど不可能だ。
大切なのは、「ECがあっても無くても来たくなる場所」
だから物販がダメなのでは無い。
来たくなる場所を考えよう!
Withコロナ、ここにSCの活路がある。