SCアンドパートナーズ

Vol.655 「不動産開発に商業施設は必要か」

先日のセミナーの際、以下のような質問をいただきました。

・商業施設は収益性が低く利回りが取れない。
・商業施設は手がかかりコスト高となるし、専門のノウハウを必要とする。
・勢い、開発における優先度はオフィスなどが高くなる。
・今後も商業施設の開発や開発メニューに入れていくべきか
・このような状況は西山氏はどう考えるか。

と、厳しい内容の質問です。

この問いに対し、その時の回答に補足も加えながら私の考えを下記にお伝えしたいと思います。

1 現在、人口減少、ECの伸長等により商業施設の収益性が低下、地価の高いところでは利回りを取ることは難しく、今後もこの厳しい状況は変わることは無いでしょう。

2 ただ、不動産開発では、オフィス、商業、ホテル、住宅の4種類が主な用途であり、、その他として貸し会議室、展示会場、ホール、劇場、学校、病院などがあるものの、建物賃貸業では、やはりこの4種類が中心となる。郊外や地方においては物流などもメニューに入るが都心部や住宅密度の高いところでは、不動産用途は限られる。

3 この中で商業施設という用途を最初から排除してしまうと不動産開発の開発メニューが制限され物件開発力は低下する。最近、商業施設は手のかかるアセットだからと最初から商業を選択肢から外す不動産会社も存在するが、最初から自らに制約を課すことは無い。

4 不動産開発は、デベロッパーとしての機能を持つ限り、街づくりの観点は持つべきだし、その街づくりおいて、土日に人がいなくなる街を作ることは結果、アセットの価値を下げることとなる。多様な人が365日行き来する街が魅力的な街だと考えるし、土日祝日、閑散とした街を作ることは避けたい。

5 1階にカフェやコンビニがあればオフィス賃貸が優位になるようにサービス機能は必ず必要となる。

6 特区申請などで1000%を超える容積率をすべて単一の用途で開発するのは景気変動や社会環境の変化に対してリスクが高すぎる。

7 これらを勘案すると、商業施設単体での開発は、利回りの点でリスクがあるが、街づくりや物件の価値を考えた場合、用途を複合したミックドスユース型が主流になるのは当然と考える。

8 これからの商業施設における賃貸先は、これまでのアパレルや雑貨などに加え、シェアオフィス、携帯ショップ、保険、証券、クリニックモールなど多様化し、それが新しい商業施設の形を定義していくと考える。

9 したがって、これまでの商業施設の運営管理も画一的では無く、多様な方法があって良いと考える。

質問をいただいた時は、このうち、半分くらいしかお答えできませんでしたが、今、私が感じているのは、以上です。

年間270万人生まれ人口が増加する戦後日本の経済成長下では伸びしろもあった商業施設でしたが、これからはそう簡単ではありません。

ただ、それは商業施設に限ったことではなく、あらゆる用途に影響することです。

そうすると、不動産開発においては、適時に環境に合致した用途の組み合わせを行っていくことしかないと思っています。

もちろん、作ってすぐ売却していくビジネスと保有しながら収益を上げていくビジネスでは観点は変わるでしょう。

コロナ禍が襲ったようにいつ何があるか分からない時代、自らの思考を狭くすることなく、柔軟に考えていくことが必要だと考えています。

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。岡山理科大学非常勤講師、小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

Facebook:西山貴仁 -SC & パートナーズ-