2021年6月2日、日本SC協会から「SC白書2021~「新常態」と地域調和型SCの萌芽~」が発行された。
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http://www.jcsc.or.jp/sc_hakusho_digital/2021/index_h5.html#%E3%80%80
毎年、時流を捉えながら基礎的データを残してくれる白書は重要な年報でありその発行に感謝している。
加えてデジタル版に限っては無料で閲覧が可能であり、ありがたい限りである。
特に今回はコロナ禍も含めた分析も行われているので参照して欲しい。
今回も昨年に続き、SC数は減少、2020年の減少数は14か所となった。
その内訳は、プラス要因とマイナス要因に分かれるが、式で表すと次の通りとなる。
(昨年のSC総数3,209か所)
+(開業SC41か所)
ー(閉鎖37か所)
ー(SCの基準から外れたもの38か所)
ー(統合2箇所)
+(追加22か所)
計 3,195か所。
SC数のカウントは下記のSCの定義と取り扱い基準がその基礎となっている。
やや近年のSCの特徴とは離れたところもあるが、統計データとして数字の振り返りを考えるとそう簡単には変えられないのだろう。
この減少にはいくつか要因があるが、その中でも大きく影響しているのは開業数。
ご覧の通り、徐々にその数は減っているが、恐らく、2020年はコロナ禍によってプロジェクトの見直しや縮小や中止があると思うので2021年、増加に転じることはないだろう。
開業したSCで特徴的だったのは、やはりその内容だ。
物販が減り、2018年からその物販テナントの内訳も調査するようになったことからより詳細なデータが分かるようになった。
これを見ると戦後日本で言われてきた「衣食住」
これが「食住衣」に変化していることがうかがえる。
コロナ禍によるステイホームや自粛生活でこの傾向は更に進むだろう。
今回のSC白書で気になったのは人材に関する視点だ。
コロナ前までは人出不足が激しく、特に店舗運営に関する人材の確保がどこのSCでも課題になっていたこともあり、雇用確保に関する施策も積極的に進められ、関係する調査も行われてきた。
このデータを見るとコロナ禍を境に雇用確保に関しては一服感が出ているようだが、お店の休業や外出自粛の影響による営業不振も手伝ってのこと。
ここで何が気になったのかというと、この調査はテナント(店舗)の動き。
でも、ここ数か月、コロナ禍の影響か当のSC側の人材も流出が進んでいるように感じている。
SC業界としては、テナントスタッフの状況と共にSC側のスタッフにも焦点を当てた調査が必要になってきているのではないでしょうか。