昨日、百貨店の紳士フロアに行った。
そこに広がる光景(空き区画と仮囲い)にとても悲しい思いがした。
はたして、この紳士服を代表するビジネススーツ達は今後、どうなっていくのだろう。
ざっくりスーツを着る方を考えると、
1.スーツを着ないといけない人(着ることがマストの人)
2.スーツを着なくても良い人(着る必要の無い人)
3.スーツはTPOで着る人(着たり着なかったり)
4.スーツを着たくない人(理由は様々)
5.スーツを着たい人(積極的に着たいおしゃれな人)
と、分類してみると、昔の日本では圧倒的に「1.スーツを着ないといけない人」が多かったように思う。
とにかく、会社員になったらスーツを着るものだ、と。
私の20代の頃は、紳士服売り場の人に「夏でも長袖Yシャツを着て上着を手に持つものですよ」と言われた。
ネクタイという紐で首の動脈を締め、長袖Yシャツを着て、上着を腕に掛けた姿が当たり前と思っていた。
(それはそれは暑かった)
でも、その時代の日本は今のように暑くは無かった。
30℃を超えることもそれほど多くなかったし、それこそ今年のように40℃を超えるなど想定もしていなかった。
でも、近年の夏の暑さは、首の動脈を締めるのはさすがにつらい。
(今年はこれにマスクが加わった)
幸い、省エネ意識の高まりからノータイ、クールビズが広がり、通勤もかなり楽になったけど、ネクタイメーカーやスーツメーカーの方には厳しい時代と思う。
では、どうしたら良いか。
「1.スーツを着なければいけない人」の減少
「2.スーツを着なくてもいい人」の増加
この傾向は今後も進むし、団塊世代の3分の1しか子供が生まれていない今、スーツのマーケットはシュリンクする。(スーツに限らないが)
だからと言って、「2.着なくていい人」に無理矢理着せようとするマーケティングは、難しい。
ここは、スーツが売れた時代を取り戻したいと考えるより、時代に合わせることを考えるべきだろう。
とすると、
1.スーツを着ないといけない人(着ることがマストの人)
3.スーツはTPOで着る人(着たり着なかったり)
5.スーツを着たい人(率先して着たい人)
この3人の方にスーツを売ることになる。
・減少する「スーツを着ないといけない人」
・TPOで「着たり着なかったりの人」
・おしゃれで「スーツを着たい人」
この3人だ。(単純過ぎるか)
いずれにしてもこれまでよりマーケットは小さい。
ということは、今後、紳士のスーツは、ニッチ産業になっていくのではないだろうか。
だから、昔のように日本全国津々浦々まで紳士服フロアに並べるマスマーケティングは難しく、国民のニーズに合わせた売り方をするしかない。
とすると、
①「スーツを着ないといけない人」市場
②「着たり着なかったりする人」市場
③「スーツを着たいおしゃれな人」市場
この3つの市場。
実は、この市場に向けた売り方(商品の作り方)で前年を超え続けている企業も多い。
スーツを着る(着たい)人は必ずいる。
ただ、残念ながら市場は縮小する。
この縮小することを真正面から受け止め、商品企画、製造、規模、量、流通チャネルを工夫する。
でも、ニッチ市場は単価を上げることが可能となる。
逆にテクノロジーを駆使して安価に提供することも出来る。
ニーズごとにマーケティングする。
これしかないだろう。
香港や台湾に行くとスーツを着た人を見ることは少ない。
亜熱帯化している日本でスーツを売ることは本当に難しいと思う。
それでもスーツのビジネスを続けるならば、市場規模とニーズにセグメントしていくしかない。
ちなみに私は「スーツは着たいけど暑くてついついカジュアルになってしまう人」です。