コロナ禍によってミーティングやセミナーなどのオンライン化が進み、時間を効率的に使えるようになりました。
そして、自社の持つ課題を解決するために外部のリソースも使いやすくなり、ビジネスの生産性向上も期待されています。
私もこの数か月、多くのことをオンラインに置き換えることで働き方や知の共有に仕方など、大きく変わってきたことを実感しています。
この経験を踏まえ、外部のリソースを活用する時の参考に、と思い下記の図を描きました。
これは、
・新しいビジネスを始める時
・新しい職場に配属になった時
・業務上の課題に直面した時
・不振となったビジネスを立て直す時
・企業成長を早めたい時
などの局面で情報やノウハウを取得するために外部のリソースを利用する際の6つの階層です。
ご覧の通り、上に行くほど個別性が高くなり情報もクローズになります。
逆に下に行くほど個別性や具体性は欠けるものの汎用性が高くなり、参加や利用が容易になっていきます。
どこを選択するかは、緊急度、課題の複雑さ、独自性、特殊性、予算などを勘案して決めていきます。
この階層を理解しないまま、自分の答えを探しに講演会やセミナーを片っ端から受けることは時間を浪費することにもつながりますので是非下記を読んでください。
◆講演会、ウェビナー
これは、著名な方や実務者がテーマに沿って講演し、それを聴講するものです。
新聞の広告欄に掲載しているのをよく見かけると思いますが、あくまで情報は一方向であり、質疑の時間も無いケースが多いです。
具体的な課題解決というより、「著名な方の話を聞きたい」、「興味分野の知識を広げたい」などで参加されることが多いと思います。
最近は、企業が宣伝を兼ねてスポンサーになり主催する無料開催が増えてきました。
これまでは会場を借り、当日の受付や案内業務などが必要でしたが、オンライン開催であれば会場も受け付け誘導業務も不要となり、低コストで開催出来るようになったことが大きいと思います。
この無料講演会の参加判断の秘訣は各講師の持ち時間です。
バラエティ豊かに色々な著名な方が並ぶ講演や公開セミナーに惹かれると思いますが、各講師の持ち時間が45分、時には30分以下なんて企画も多く見られます。
さすがにその短さではなかなか本質的な話は出来ませんよね。
◆公開セミナー(オンライン含む)
セミナーは、特定なテーマを設定し開催します。
そのため、そのテーマに興味のある方や該当する知識を習得したい方が参加します。
こちらも講演会同様、公開での告知、公開での申し込みを受け付けるパターンです。
ただ、講演会とは異なり、テーマが絞られ、参加人数も少なく、質疑の時間を設けるので深く知りたい方に向いています。
とはいえ、特定多数の方の参加するので、講師の発する内容が自分の期待したこととズレることや自分が求める答えが出てこないことも多々あります。
これは質疑で解決するしかないのですが、講師もその場では質問者の背景が分からないため的確な答えが返せないことも多いので公開セミナーでの質問はセミナーの内容について更に深く聞く質問が適しています。
仮に自分の課題についてコメントが欲しい場合は、終了後直接か、後日メールなどで問い合わせる方がいいでしょう。
一番望ましくないのは、自分の期待する答えが無かったからと「具体的じゃない」とアンケートに書き、質問も名刺交換もせずに帰ることです。
せっかくお金と時間を使って参加したのですから何かしらの答えを持ち帰って欲しいと思います。
セミナーも最近は企業主催の無料開催が増えてきました。
ただ、無料であるがゆえに各講師の自己紹介や企業紹介や商品紹介が多く含まれることを承知の上参加して下さい。
◆企業研修(オンライン)
このケースは企業向けにオンラインを通して行うクローズの研修です。
コロナ禍によって集合や対面の回避、在宅からの受講などのニーズから最近急増しています。
通常、ZOOMなどを活用して行います。
企業を限定するため、参加する方の属性やニーズやレベルに合わせてプログラムすることで公開セミナーに比べると飛躍的に効果は高くなります。
例えば、SCの基礎知識、営業分析手法、テナントリーシング実務、建物賃貸借契約実務など独自に作成したテキストを共有しながら知識を伝えていきます。
私の場合は、双方向性を重視するので、1回あたり、10名程度での開催をお願いしています。
これが30人、40人、場合によっては100人などの要望を受けますが、そうなると研修では無く、前出の講演と同じようになり、一方向になってしまい最大公約数的な内容となるためあまりお勧めしていません。
◆企業研修(リアル)
こちらは企業やSCへ訪問し、会議室などに集合して行う研修です。
こちらも予め研修の事務局と協議し、内容(レベルやテーマ)を決め、実施します。
オンラインとは異なり、双方向性が担保出来るのでその場の状況で臨機応変に対応できるところが利点です。
参加人数も20名程度までなら双方向性を保てます。
以前、参加者15名と聞いて訪問したところ150名の方が参加した企業がありました。
さすがにこれだと完全な講演スタイルとなり研修では無くなってしまいました。
私は、その日の参加人数によって進行速度や情報量を調整し、時には会場に応じてプレゼン資料の文字数やポイントサイズも変えます。
あらかじめ打ち合わせした人数を当日に変更することは絶対にしてほしくない1つです。
◆コンサルタント契約、業務委託契約
企業に課題があり、それを解決したい場合、相対で成果を求めるものです。
セミナーや研修など多数の参加者ではなく、プロジェクト単位での受発注になるため、クローズで解を求めるときに行う業務になります。
最近、時間単位で知見を提供する「スポットコンサル」も増加してきています。
◆アドバイザリー契約、顧問契約
企業に対して、準社員のような形で入り込み、課題を解決していく時に行われる契約です。
この契約には大きく5つのパターンがあります。
1つ目は、企業が自社の社員で定年された方を一定年数契約する顧問契約があります。
正社員ではなくなっても余人に代えがたい知識やネットワークをお持ちの方を継続して契約するようなケースです。
2つ目に住民税対策として継続して契約するケースです。
住民税は前年の収入を元に算出されるため、定年で雇用が終了する場合、次年度の税金分を顧問料として補填するようなケースです。
3つ目に弁護士契約のように有事の際に相談をするために一定額を継続して支払い、関係性を保つケースです。
この場合は、顧問料を上回る業務が発生した場合は別途エクストラで支払いが生じるケースが多いです。
4つ目が特定のテーマを持って顧問契約を行うケースです。
例えば、企業の知識拡充や販路拡大などの企業の成長に資するため、契約を交わし、業務を側面からサポートしていく役割を負うことになります。
私の業務のうち、このパターンが顧問契約は最も多いです。
5つ目は、国や地方の行政体などの役職者と契約するケースです。
消防署長、警察署長など経験を積んだ方を企業に迎え入れ、その方達の経験を企業の成長に役立ててもらうケースです。
以上、これらの活用方法は、自らの持つ課題のに応じて選択することになりますので、予算と相談しながら、適正な外部リソースを使うことをお勧めします。