SCアンドパートナーズ

Vol.383 「御殿場PO「HILL SIDE」 OPEN」

コロナ禍によって開業が遅れていた御殿場プレミアムアウトレットの「HILL SIDE」が開業したので行ってきました。

御殿場プレミアムアウトレットは2000年の開業だから今年で20周年。

今では291店舗。

ここまで大きくなるとは誰が思っていたでしょう。

当時は、アウトレットストアは100店舗くらいが限界では?と考えられていたものが今や3倍。

アウトレットストア市場の拡大を感じます。

とは言え、店舗内を見るとあきらかに「アウトレット専用商品」も。

①ブランド名は、そのままにアウトレットストア向けの商品を製造販売している企業

②アウトレットストア専用の別ブランドを別途作り商品を製造販売している企業

③ブランド名をそのままだけどその下にサブブランド名を付けてアウトレットストア専用に商品を製造している企業

④アウトレット用商品を本国から輸入している企業

⑤アウトレットストアを綺麗に品揃えするために商品を追加製造している企業

などなど、いろいろな店舗が混在しています。

もちろん、純粋にアウトレット商品(在庫品、季節外品、B品、サンプル品、生産過多、返品、傷物、サイズ落ちなど)を売っている店もあります。

昔に比べて、多種多様なお店が並び20年の月日を感じさせます。

昔は、かたくなに「アウトレット専用商品はダメ」「アウトレット用商品を作るなんて本末転倒」なんて今で言えば自粛ポリスのように見回っていたことが懐かしく感じます。

でも、遠いところをやってきてくれたお客様が買うものが無くてがっかりするより、商品の品ぞろえがしっかりしている方がいい、という判断に変わり、アウトレットセンターも日本で一定の市民権を得た証拠かもしれませんね。

さて、今回の増床「HILL SIDE」は、これまでのWEST ZONEとEAST ZONEとブリッジで連結されています。

 

前回のコラムでも書きましたが、完全なサーキットモールをつなくグランドサーキットモールの形態。

このマスターサーキットがサーキットモールを連結する「グランドサーキットモール」は、日本では初の形態でしょう。

行くと分かりますが、買い物しながら全部を周ろうとしたら4時間以上は必要ではないでしょうか。

もちろん、買い物せずに1周するには1時間も掛からないと思いますが。

今回のHILL SIDEをプレスリリースで見る限り、敷地形状が段々畑になっているらしい、ということが非常に気になっていました。

それがこの絵です。

低層がLow Street、中層がMiddle Street、高層がHigh Streetと命名されているところを見ると顧客動線は3段になっているらしい。

ということでEAST ZONEから上がってみることに。

エスカレーターと階段とエレベーターが設置されています。(階段の横にはゴンチャ)

上に上がるとHILL SIDEに連絡ブリッジ

 

高さがあるから上から既存棟が見えます。

 

HILL SIDEのディレクトリ

そこにはメリーゴーランド

子供の遊具が並びます。

アメリカのアウトレットモールにはこういった遊具はほとんど見らせません。

何故なら「買い物」をしてもらうための施設だからこういった場所で時間消費をしてほしくないという発想。

でも、日本ではお買い物はレジャーの1つ。子供も楽しめないとね。

プレミアムアウトレットのデザインで気に入っているところは、この店舗前面の立ち上がり壁

通常、ガラスを下までにするところをあえて50センチほどの壁を作ってそこでガラスを止める。

雰囲気がいいですよね。

右へ曲がって奥まで行くと次は中間階へ。

そして、どんどん上がっていくと、とうとう上のエントランス

ここから新しく出来た「HOTEL CLAD」は目の前。

フロントに聞いたら結構宿泊者はいるようです。

HILL SIDEに出来たフードコート「ITADAKI TERRACE」

ご当地モノもたくさんあって楽しめます。

でも、少し狭いかな。

もう少し、このフードコート大きくても良かったような気がします。

週末は席の争奪戦になりそうです。

今回のHILL SIDEは、既存エリアからの移転とアウトレット業態初チャレンジの店が並び圧巻。

ここは一番上のHigh Street

今回出店しているお店で注目は2つ。

まず一つ目は「HERNO」

この単価がどう評価されるか。分からないけど、コートを買う冬までは頑張って欲しい。

そして、レストラン。

まずは静岡県以外には出店しないと言われるご存知「さわやか」

オープンは未だみたいですが、開業後、どれだけの行列になるのか、期待大ですね。

1時間半は当たり前、4時間待つ、なんてこともある人気店。

げんこつハンバーグが人気です。

そして、私としてはこのさわやかより驚いたのはここ。

「銀かつ 田むら」

知らない人も多いと思いますが、小田原の名店。

とにかく、この「豆腐かつ煮定食」は絶品。

小田原に行くときは必ず寄ります。

今回のリニューアルとHILL SIDEのオープンでは、新規の店舗と飲食店舗の充実と子供の遊び場とアップダウン計画、いろいろ新しい試み満載。

ちょっと、LAのハリウッドにあるユニーバルスタジオを思い出しました。

あそこも高低差を利用してアトラクションが立ち並ぶ。

アップダウンがそんな非日常感を醸し出します。

でも、ここ御殿場プレミアムアウトレットの良いところは、以前もこのコラムで書いた橋の存在。

これはWESTとEASTをつなぐ橋。

この空間が御殿場プレミアムアウトレットの成功に大きく影響していると思っています。

アウトレットモールの成功には条件があります。

それは、

1.非日常空間であること。
2.交通の要衝であること、もしくはアクセスに優れること。
3.リゾート地と隣接、またはそこそのものがリゾート地であること。
4.老若男女が楽しめること。
5.都市圏から一定距離、離れること。(離れすぎてもダメ)
6.人気のブランドが揃っていること。
7.海外からのインバウンド客が取り込めること

7つ目はマストでは無いけどあった方が売上は見込める(今はコロナで無理だけど)

でも、残り6つは、アウトレットモール成功のKFSです。

この1つ1つの理由の説明は次の機会に譲るとして、御殿場プレミアムアウトレットにある深い渓谷を渡る橋がお客様の気持ちスイッチを押す。

ぜひ、この橋から下の渓谷を見下ろしてください。

その意味が分かるはずです。

この記事を共有する

CONTACT USお問い合わせ

これまで問い合わせ用メールアドレスをこちらに記載していたのですが、最近、営業メールの数が看過できないほど増えてきており、大変心苦しいのですが一旦閉じさせて頂きたくことになりました。
事情ご賢察の上、ご理解くださいませ。

株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

Facebook:西山貴仁 -SC & パートナーズ-