SCアンドパートナーズ

Vol.368 疫病等を契約書に書き込む必要性

前回のコラムで、コロナ禍における賃料減免について5つのアプローチを明示した。

それぞれに難しさはあるものの、やはり、一番難しいのは法律論争だろう。

今回の事例は、下記に記載した民法の条項が対象になると思うが、611条などこの4月の改正民法で新たに出てきた「賃料の当然減額」というもの。

これが果たして、今回のコロナ禍にどのようにインパクトがあるのか、まだ分からない。

ただ、こういった疫病など賃貸人、賃借人双方に瑕疵が無い場合は賃料をどのように扱うのか、考えないと今後も同様な混乱を生む。

東日本大震災の時、賃貸人と賃借人の交渉が成立したことが多かったため、私の知る範囲では訴訟には至るケースがなく、この領域はあまり考えられなかった。

そして、現在も賃貸借契約の条項には天災事変や風水害などの表現はあるものの疫病は見たことが無い。

また、責に帰すべきことの無い場合は、損害賠償を負わないとの記載はあるが、賃料の扱いまで明示されているのを見たことが無い。

(あるのかもしれないが)

いずれにしても、今後、今回のようなケースの時、どのような対応をするのか。

時間はかかるとは思うが、賃貸人賃借人双方が納得感のある合意条項を作ることが求められる。

単に賃料を何割負けるか、減額するか、しないか、という目の前の議論と並行して、今後のことも視野に入れた社会的コンセンサスが必要になるだろう。

民法第536条(債務者の危険負担等)
当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

民法第611条(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)【改正後】
1 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
2 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員、渋谷109鹿児島など新規開発を担当。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。岡山理科大学非常勤講師、小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒、1961年生まれ。

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