SCアンドパートナーズ

Vol.344 「有事の際の賃料減額」

今週末の土日も休業を決めた店舗も多く、損害額も相当の大きさだと思う。

特に飲食店のように人件費率や原価率が高い業種はインパクトが大きい。

そして、固定費となる家賃。

これも売上が上がらない中では支払うこともままならない。

ということで、早々に賃料の減額を発表する商業施設(ビルオーナー)も出てきている一方で、商業施設へ出店しているテナントの方からも売上減少に伴う賃料の値下げを施設側と交渉を始めている。

2011年、東日本大震災の時も停電などで営業が出来ずに店舗を閉めた際、施設側がテナント賃料を減額した。

ただ、今回、その時と異なる点は、「先が見えない点」だ。

東日本大震災の時は、まだ、期間が分かり、損害額も貸し手も借り手双方で算定することが出来たので賃料減額も納得感の中で交渉が進んでいった。

しかし、今回は、この状態が続くのが、半年なのか、1年なのか、はたまたもっとなのか、全く見えない。

この状況の中でいきなり賃料減額要求を突き付けられてもオーナー側もどこまで譲歩していいのか分からない。

恐らく困っていると思う。

そして、被害を受けているのもテナント側だけでなく、施設側も大きくダメージを受けている真っただ中にけんか腰で賃料交渉に臨む方もいて非常に心配している。

まだ、始まったばかりだ。

売上が落ち困っているテナントさんの気持ちもどこまでこの環境が続くのか分からないビルオーナーの気持ちもどちらも同じくらい切実だ。

だから、双方落ち着いて、今しばらく状況を見極めることが必要だろうと思っていた矢先、下記のような記事に遭遇した。

「ビル所有者などに賃料支払い猶予など要請 国交省 新型コロナ」
2020年3月31日 13時14分新型コロナウイルス・経済影響

赤羽国土交通大臣は31日の閣議のあとの記者会見で新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店などの経営に深刻な影響が出ていることから、こうした店舗が入るビルなどの所有者に対し、賃貸料の支払いの猶予など柔軟な対応をとるよう要請する考えを示しました。

この中で赤羽大臣は「感染の拡大で飲食業を営む方たちは大変な状況で、賃貸料の支払いが大きな負担になっている。ビルの所有者に対して賃貸料の支払いの猶予など、柔軟な措置をとっていただくよう不動産関連の団体を通して要請することにした」と述べ、ビルなどの所有者に対し賃貸料の支払いなどについて柔軟な対応をとるよう要請する考えを示しました。」

マスコミの記事なので、いつものように会見の一部を切り取られたものかもしれないし、本当にこういう言い方をしたのか、真意はどこにあるのか、実のところは分からないが、これだけを見ると一方的にビル所有者に負担を求めている。

この場合、賃料の猶予を主張するのであれば、ビルオーナーが負担する固定資産税の猶予や減少する収入の損金算入などの税務的な処理を絡めたパッケージとして提示するべきではないだろうか。

今、世の中は非常事態。

冷静な判断や行動が取れないことも多い。

東日本大震災の時もお客様が店になだれ込むような惨状を目にし、驚きと悲しさに直面したものだ。

今は有事、不安は皆同じだ。

成熟社会であるはずの日本。

もっと冷静になって欲しいと思う。

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株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

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