SCビジネスフェアのセミナーで「SCは固定賃料化に向かう」と伝え、その理由を本コラムで数回に分けて解説してきた。
ただ、誤解しないで欲しいのは歩合賃料や最低保証付き売上歩合制を否定しているわけではない。
今回、問題視しているのは、テナント売上だけに依存したSCビジネスモデルなのだ。
このビジネスモデルは、競合も少なく、テナントも生業テナント、そして契約は普通借家契約下において作られたもの。
しかし、今は、テナントはナショナルチェーンが中心であり、業種もサービステナントが増加、そして人口減少で売上増加は期待できない。
その上、契約は、確定的に終了する定期借家契約だ。
この変化の下、50年前に作られたモデルをいつまでも続けていくわけにはいかないだろう、という懸念から発したメッセージなのだ。
今、SC事業の収益はテナントからの賃料に依存する。
だから、その賃料を上げるためテナントの売上を上げようと躍起になる。
でも、マーケットはシュリンクし、ECの競合にさらされる今、その活動はあまりに脆弱だ。
そのことを絵にしたものが下記になるが、SCの収益はテナント賃料であり、その他の軸が無い。
今後も、テナント売上に固執し、客数×客単価の図式を追い求めるのもいいが、あまりに生産性が低い。
そもそも、SC事業は不動産業であり、リスクをテナントと分担したビジネスモデルであったはずだ。
そのビジネスモデルを前提にすれば、SCデベロッパーの活動内容は自ずと明らかになる。
SCデベロッパーが果たす役割。
固定賃料になった時、その次の成長をどうやって獲得するのか。
2020年は、知恵の出しどころの年になるだろう。