SCなど商業施設を運営している方に「なぜセールを行うですか」と尋ねると、
「セールは、お客様へ日頃の感謝です」
という。
→でも、自分の買った商品がディスカウントされてお客様は喜ぶのだろうか?
「なぜ、セールを統一するのですか」と尋ねると、
「セールは統一しないとパワーが出ない」
という。
→でも、セールにパワーが必要なのだろうか?
セールが終わると各社から前年比が発表される。
→でも、セールで前年を超えるって恥ずかしいことではないのだろうか?
セールで売上高が高いということは、
1.売れ残り商品がたくさんあるのか
2.プロパー価格にお客様が納得していない証拠か
3.お正月、天気が良かった
のどれかだ。
セールで集客して前年超えたと喜ぶ方も多い。
でも、
・セールのための告知費用
・館内装飾
・セール用統一POPの制作
・当日の誘導警備
・準備にかかる担当者の機会費用
・そして割引販売。
上振れ分の歩合賃料で、果たしてこの費用増を賄って本当に利益が出ているのだろうか?
→実は赤字じゃないのだろうか?
遠い昔、テナントが個人企業や生業店だった時は、デベロッパーが音頭を取ってセールを統一して行った。
小さい寄り合いSCでは、皆で出し合った販促費で広告を行いセールを行うことで盛り上がり、ある種イベントとしてモチベーションアップにもつながった。
それは粗利益の高い値段設定だったからこそ、出来たこと。
10,000円にニットが6,000円になればお得感は高い。
でも、今は3,900円のニットが2,900円になる程度。
これではお得感も無い。
テナントに生業店が減り、大手アパレルブランド、外資系ブランド、ナショナルチェーンブランドが増えた今、もう年内から各自でセールをスタートしている。
今週も「会員限定」「今日だけ」「プレミアム会員向け」といったメールが矢のように送られてくる。
そして、店頭に行けば、ディスカウントは始まっている。
セールPOPは無いものの、値札を見ればディスカッションが表記がされている。
かけ声も「店内、今の値札から全品30%オフです」と店員さんは叫ぶ。
これじゃ、SCから発信する「1月2日セールスタート」のインフォメーションもむなしい。
「セール、もうやってんじゃん」と。
SCは、統一にこだわるがあまり、お客様を裏切ることになっていないか。
アウトレットモールに行くと外資系ブランドでは、お店の入り口で「全品30%OFF」のチケットを手渡される。
「今、付いている値段から50%OFFですが、このチケットはそこから30%OFFします」
プロモーションとしての即効性を感じるが、もう値段って何だろう?と。
事業者自らが価格に対する信頼性を低下させているのではないのかと思う。
年間27億点の被服が供給される日本では、もうこのスタイルは限界が来ているのではないだろうか。
ショッピングセンターでは、そろそろ、セールのような残品処理は各ショップに任せて、もっと別なことで顧客価値を作っていく必要があるではないだろうか。
これは2019年の課題にしよう。