2021年2月の売上高(SC、百貨店、チェーンストア)が出揃いました。
依然として最寄り品と郊外店は堅調に推移するものの一部を除いて買回り品と都市部の不調が続いているようです。
昨年の2月はまだコロナ禍の影響を大きく受けていませんでしたが、3月は全国的に感染が拡大していますので、今月(3月)がどのように動くのか注視されます。
各業界団体からのコメントは以下の通りです。
【日本SC協会】
既存SC前年同月比 : ▲13.4%
10都府県で緊急事態宣言続くも宣言前の水準まで回復
- 2月度の既存SC売上高(総合)は前年同月比▲13.4%となった。10都府県は2月を通じて緊急事態宣言下での営業となり、前月から引き続き時短営業を実施したSCが大半だったが、新規のコロナ陽性者数減少に伴い来館者が増加するとともに、気温の上昇が春物商材の売上回復にも繋がり、緊急事態宣言発出前の12月(同▲14.4%)の水準まで回復した。
- 立地別・構成別をみると、中心地域が前年同月比▲24.5%、周辺地域は同▲8.2%となった。両地域ともに前月から10ポイント超の改善となった。周辺地域の改善はコロナ下で厳しい状況が続いていたテナントの回復(前月から13.9ポイント増)が寄与した。なかでも、3密の懸念が小さい広域商圏の大規模なオープンモールは回復が顕著で前年同月を上回るSCもみられた。
- 立地別・地域別をみると、北海道が前年同月比▲18.4%で最も落ち込みが大きかった。前年の2月も全国に先駆けてコロナ感染が拡大したことで、他地域と比較して大幅なマイナス(同▲14.3%)となっていたが、今年は雪まつりがオンライン開催されるなど海外・道外からの観光客も大幅に減少し2年連続で厳しい結果となった。東北は13日に福島県沖で発生した最大震度6強の地震の影響で宮城県や福島県の一部SCが臨時休業したことが響き同▲15.8%と北海道に次ぐ落ち込みだった。
- 都市規模別・地域別をみると、仙台市が前年同月比▲23.6%と地震の影響で落ち込んだ他、各地域のなかでもコロナ禍以前は県外からの来館者も多かった東京区部(同▲21.8%)、名古屋市(同▲25.0%)、大阪市(同▲28.3%)、福岡市(同▲28.9%)では中心地域のSCのマイナスが響き20%を超える落ち込みとなった。
- 業種別動向をみると、先述のとおり、春物商材に動きがみられたアパレルが堅調だった他、携帯ショップでは携帯電話の新料金プランの発表に伴い、既存プランの見直しを検討するユーザーの来店がみられSCへの集客に寄与した。一方で、医薬品は前年にマスク等の需要が急増した反動で前年を下回ったとの回答が複数見られた。なお、バレンタインは堅調だったと回答したSCもみられたが、当日が日曜日だったため、通勤客の購入が減った駅ビルでは苦戦したとの声がきかれるなど立地による差がみられた。
【百貨店協会】
1.売上高総額 3,223億円余
2.前年同月比 -10.7%(店舗数調整後/17か月連続マイナス)
3.調査対象百貨店 73社 196店 (令和3年1月対比±0店)
4.総店舗面積 5,038,154㎡ (前年同月比:-3.6%)
5.総従業員数 58,967人 (前年同月比:-6.0%)
6.3か月移動平均値 7-9 月 -25.6%、8-10 月 -20.5%、9-11 月 -17.8%、
(店舗数調整後) 10-12 月 -10.8%、11-1 月 -18.6%、12-2 月 -18.0%
「特 徴」
2月の売上高は10.7%減と前月(29.7%減)より減少幅が縮小し、回復の兆しは見えてきたものの、コロナ禍の影響がなかった前々年(平成31年2月)対比では21.9%減と、依然厳しい状況が続いている。「緊急事態宣言」延長による対象地区店舗・テナントでの時短営業や主要顧客である高齢層の外出自粛に加え、前年閏年による営業日数減なども響いた。
顧客別では、国内富裕層を中心に高額消費が活発で、ラグジュアリーブランドや時計・宝飾品等が高伸している他、巣ごもり需要やECも引き続き好調で、国内市場は9.1%減(4か月連続/シェア98.7%)と持ち直してきた。一方、インバウンドは入国規制で60.7%減(13か月連
続/シェア1.3%)、コロナの影響がない前々年比では86.4%減と低水準のまま推移している。
地区別では、地方は9.0%減(10都市以外の地区/4か月連続)、大都市でも11.4%減(10都市/17か月連続)と、その差は2.4ポイントまで縮小した。
商品別では、株高を背景に、高級時計等を含む美術・宝飾・貴金属は増勢で、前年比(8.9%増/2か月ぶり)、前々年比(1.5%増)ともにプラスとなった。化粧品は、インバウンドの影響で前年割れしているが、国内顧客の需要増から一部に改善傾向も見られる。また、イエナカニーズを反映し、調理家電、特選食器関連などが動いた家庭用品(0.2%増/4か月ぶり)は、前年実績を確保した。衣料品はビジネス関連を中心に苦戦が続くが、一部軽衣料は健闘している。
バレンタイン商戦は、店頭では混雑回避を目的に、ブランドの絞り込みや入場制限など制約の多い展開となったが、オンライン販売強化によるEC売上の高伸がカバーし堅調に推移した。中でも、各社が実施した「自家需要」「巣ごもり消費」向け施策などが好評だった。
【チェーンストア協会】
「概況」
※会員企業数 | 56社 / 店舗数 11,014店 | |||||
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※総販売額 | 9,577億円 | (店舗調整前) | 102.1% | (店舗調整後) | 97.9% | |
<部門別の概況> | ||||||
・食料品 | 6,806億円 | (店舗調整前) | 104.6% | (店舗調整後) | 99.7% | |
・衣料品 | 475億円 | (店舗調整前) | 92.9% | (店舗調整後) | 88.5% | |
・住関品 | 1,755億円 | (店舗調整前) | 98.3% | (店舗調整後) | 95.1% | |
・サービス | 19億円 | (店舗調整前) | 84.3% | (店舗調整後) | 78.3% | |
・その他 | 519億円 | (店舗調整前) | 95.0% | (店舗調整後) | 94.9% |
令和3年2月度は、新型コロナウイルス感染症感染拡大による緊急事態宣言により、外出自粛などにより内食化傾向が続いているが、食料品ではその他食品が昨年の反動で動きが鈍かった。衣料品はテレワークなどによりビジネス関連が苦戦しており、住関品にも反動減が見られ動きも鈍かったことから、総販売額の前年同月比(店舗調整後)はマイナスとなった。