SCアンドパートナーズ

VOL.1053 「今日は大晦日、年始の営業開始日は?」

かつて、ショッピングセンターの運営管理を担当している時、365日営業を行っていた。

そのショッピングセンターでは、開業時はまだ大店法の名残もあり、月一の休みや年始の休みもあったが、大店立地法への転換が進むうちに休業日の自由度が上がり、元旦からの営業をスタートした。

元旦からの営業に踏み切る時は、出店するテナントスタッフの意向もあり、多少苦慮するところもあったが、元旦営業を敢行した。

元旦営業するからにはしっかり集客をしなければならないととことん告知をした。

「元旦も営業します!」

究極は駐車場の入庫のバーにまで「元旦から営業します」とPOPを付けた。

そんなことも奏功して元旦が大賑わいとなり、何と、年間を通して一日あたり最大の売上を上げる日となったことにはさすがに驚いた。

その要因は、午前中は福袋目当ての方、その方たちが帰った後は、正月休みで会社のお休みの方と2毛作になったから。

当初、正月に人は出てくるのか?

と不安視されていたものの、獅子舞や振る舞い酒や太鼓の演武などを用意したことで、来られた方はショッピングセンターで正月気分を味わっているようにも見え、消費者の生活態度やニーズに合致したことを実感した瞬間だった。

もう一つ、年中無休にした理由があった。

それはコストの点だった。

大型ショッピングセンターを休業させるには、内部ではシフトの調整やBGMや照明のタイマーの変更、駐車場の閉鎖などかなりの手間とコストが掛かる。外部向けには休業することの告知ための媒体費や広告費や代理店との調整など相当の手間と時間と費用が掛かる。

開業後、初めての休業日には、BGMの設定を間違えて誰もいない施設内にBGMが流れるという事態が起こったりするのである。

なので、コストや作業手間を考えると年中無休で毎日同じ時間で運営した方がコストもかからず、おかしなトラブルも少なくなり効率的ではある。

人はシフト勤務をすることで休むことは出来る。(元旦は休めないが)

そんなこんなで当時は元旦営業をしていたわけだが、今はかなり背景が変わった。

ワークライフバランス、そして、人出不足。

この2つにより、今や年間の中でテナントが独自に休業することが出来るようになるSCも登場した。

時代は変わりました。

でも、諸外国にいけば営業時間はテナントの裁量が大きいところも多い。

同一営業時間に拘るのは日本くらいかもしれない。

ということで、明日お休みのSCも多いと思う。

1日家でゆっくり出来ると良いですね。

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これまで問い合わせ用メールアドレスをこちらに記載していたのですが、最近、営業メールの数が看過できないほど増えてきており、大変心苦しいのですが一旦閉じさせて頂きたくことになりました。
事情ご賢察の上、ご理解くださいませ。

株式会社 SC&パートナーズ

代表取締役西山貴仁

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒。

Facebook:西山貴仁 -SC & パートナーズ-