※新型コロナウイルスは、「百貨店には起死回生を狙え!」「SCには次のステージに行け!」と叱咤激励ではだったのではないか、そんな課題感で今回は書きました。
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2023年5月23日、日本ショッピングセンター協会(以下、日本SC協会)からSC白書が発刊された。
そこに記されたものは決してバラ色では無く、冷静に環境が分析されている。
今回は、このデータを元にショッピングセンター(SC)の課題を指摘したい。
SCの数が減少する理由
SC白書では、2022年の開業SC数が36カ所、国内のSC総数は、3133カ所と発表された。
これは日本SC協会が定めるSCの定義と取り扱い基準によってカウントされたものだが、もう少し細かく見ると前年度(2021年度)のSC数3169か所に2022年の開業数36か所(図表1)とSCの取り扱い基準を満たしたと確認できたもの 16か所を加え、そこから閉店したSC30か所と基準から外れたもの58か所(図表2)を差し引く。
この増減を加味した結果が3133か所であり、前年の3169カ所から36カ所の減少となる。さらにはSC数のピークだった2018年の3220カ所からは87カ所の減少となる。
開業数は、コロナ禍によって大きく減少した2021年比べると増えているものの2013年をピークに減少傾向が続く。
なぜSC数は減少しているのだろうか?
その理由は、不動産開発における商業用不動産のプレゼンスの低下による影響が大きい。
元々、最終消費者の買い物や外食などをターゲットとする商業用不動産の収益は安定性に乏しく、テナントの出退店やエンドユーザーの対応やマーケティング活動など物件の運営業務に人手の掛かるハンズオン型の不動産経営に分類されるため、商業施設を敬遠する不動産会社も出てきている。
近年の新規開発においては、ECの伸長に対応する物流施設、インバウンド3000万人時代に対応するホテル、コロナ禍でも安定を見せたレジデンス(住居用不動産)、長期契約による安定収入とハンズオフ型不動産賃貸のオフィスなどを中心に複合化した開発が増加し、そこに下駄履き型の足元商業施設は作られるものの、SCの取り扱い基準を満たさずカウントされないことも多い。
特徴的なのは2023年4月に開業した高さ225m、延床面積8万7000㎡の東急歌舞伎町タワーだ。ホテル、劇場などで構成され、物販はほぼゼロに等しく、小売業の面積を規定するSCの取り扱い基準を満たさない。
こういった社会的な要請、不動産開発における利回り確保から商業用不動産の単体開発は減少しているのである
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